障害者に関連するマークの意味や目的について

障害者に関連するマークはいくつかあり、それぞれ異なる意味や目的を持っています。主なマークとしては、以下のものがあります。

  • 国際シンボルマーク:
    • 障害者が利用できる建築物や公共輸送機関であることを示す世界共通のマークです。
    • 車いすの意匠が描かれており、障害者優先駐車スペースや優先席、多目的トイレなどで広く用いられています。

  • 身体障害者標識(障害者マーク):
    • 肢体不自由であることを理由に免許に条件が付されている方が運転する車に表示するマークです。
    • このマークを付けた車に幅寄せや割り込みを行った運転者は、道路交通法の規定により罰せられることがあります。

  • ヘルプマーク:
    • 義足や人工関節を使用している方、内部障害や難病の方、または妊娠初期の方など、外見からは分からなくても援助や配慮を必要としている方々が、周囲に配慮を必要としていることを知らせるためのマークです。
    • このマークを身に着けている方を見かけた場合は、電車内で席を譲ったり、困っているようであれば声をかけるなど、思いやりのある行動をお願いします。

  • ハート・プラスマーク:
    • 身体内部に障害があることを示すマークです。
    • 心臓、呼吸機能、じん臓、膀胱・直腸、免疫機能などに障害がある方は、外見からは分かりにくいため、誤解を受けることがあります。
    • このマークを着用されている方を見かけた場合には、内部障害への配慮について、ご理解・ご協力をお願いします。

これらのマークは、障害のある方が日常生活や社会生活を送る上で、周囲の理解や配慮を得るために重要な役割を果たしています。

障害者に関係するマークの使用方法やルールについて、以下のポイントが挙げられます。

  • 国際シンボルマーク(車椅子マーク)
    障害者が利用できる施設や設備を示す際に使用します。ただし、個人の車に表示する場合は、障害者が乗車していることを知らせる程度の表示に留めることが推奨されています。
  • ヘルプマーク
    外見から障害が分かりにくい方が援助や配慮を必要としていることを示すために使用します。公共交通機関や日常生活で周囲に配慮を促す目的で活用されます。
  • デザインの改変禁止
    障害者関連のマークは、規定されたデザインをそのまま使用する必要があります。色や形状の変更は許可されていません。
  • 適切なサイズと配置
    マークは視認性を確保するため、適切なサイズで使用することが求められます。また、他の要素と重ならないよう余白を確保する必要があります。
  • 特定の用途への限定
    マークは本来の目的以外で使用することは禁止されています。例えば、国際シンボルマークを商業目的で利用することは認められていません。
  • マークによっては、使用前に許可申請が必要な場合があります。例えば、SDGsロゴなどは国連本部のガイドラインに従い、許諾申請が求められます。
  • 使用方法について不明点がある場合は、提供元や関連機関に問い合わせることが推奨されます。

これらのルールを守ることで、障害者支援の意図を正しく伝え、誤解や不適切な利用を防ぐことができます。

各マークの使用例について、以下のようなものがあります:

  • 障害者のための国際シンボルマーク: 障がい者が利用できる建物や施設を示すために使用されます。例えば、公共施設の入口やエレベーター、障がい者用トイレなどに表示されています。
  • ベビーカーマーク: 公共交通機関や公共施設のエレベーター、鉄道やバスの車両スペースなどに掲示されています。このマークがある場所では、ベビーカーを折りたたまずに使用できます。
  • 耳マーク: 聴覚障がい者への配慮を示すマークで、公共施設の窓口や病院の受付などに掲示されています。このマークがある場所では、筆談などの対応が可能です。
  • 身体障害者標識(クローバーマーク): 肢体不自由の方が運転する車の前後に掲示されています。他の運転者に配慮を促すためのマークです。
  • 盲人のための国際シンボルマーク: 視覚障がい者のための設備や製品に使用されます。例えば、点字ブロック、音声案内装置、国際点字郵便物、点字書籍などに表示されています。
  • ハート・プラスマーク: 内部障害のある方が身につけるマークとして使用されます。例えば、バッジやカードの形で携帯されています。
  • ほじょ犬マーク: 身体障害者補助犬(盲導犬、介助犬、聴導犬)を同伴できる公共施設、飲食店、病院、宿泊施設などの入口に貼られています。
  • オストメイトマーク: オストメイト(人工肛門・人工膀胱を造設している人)に対応するトイレの入口や案内誘導プレートに表示されています。
  • ヒアリングループマーク: 補聴器や人工内耳のTコイルを使用できる施設や機器であることを示すために使用されます。例えば、公共施設の受付や会議室などに表示されています。

これらのマークは、それぞれの目的に応じて適切な場所に表示され、障がいのある方々や特別なニーズを持つ人々への理解と配慮を促進する役割を果たしています。

障害者に関連するマークのデザインや意匠の特徴について、以下のように整理できます。

  • 視覚的な認識性
    障害者関連マークは、誰でも一目で意味を理解できるよう、簡潔で明確なデザインが採用されています。例えば、車椅子マークはシンプルな線画で構成されており、視認性が高いです。
  • 統一された形状と色彩
    国際的に使用されるマーク(例: 障害者のための国際シンボルマーク)は、統一された形状や色彩が指定されています。これにより、場所や国を問わず同じ意味を持つことが保証されます。
  • 象徴性
    マークのデザインには、障害や支援を象徴する要素が取り入れられています。例えば、「耳マーク」では耳の形をシンプルに表現し、聴覚障害への配慮を示しています。
  • 視覚を通じた美感
    意匠法によると、デザインは「形状」「模様」「色彩」またはその組み合わせによって視覚的な美感を生むものとされています。
  • 実用性と美しさの両立
    障害者関連マークは、機能的な意味だけでなく、美しいデザインとしても評価されます。例えば、「ヘルプマーク」は赤地に白いハートと十字を組み合わせたシンプルで洗練されたデザインです。
  • 模倣防止
    意匠権や商標権を活用することで、これらのマークが不正に使用されることを防ぎます。
  • 公共施設での使用
    国際シンボルマークやオストメイトマークなどは、施設内で目立つ場所に配置されるため、大きく明確なデザインが採用されています。
  • 携帯可能なデザイン
    ヘルプマークやハート・プラスマークなどは、個人が身につけられるようバッジやタグとして使いやすい形状になっています。

これらの特徴によって、障害者関連のマークはその目的に応じた役割を果たしつつ、利用者や周囲への配慮も考慮されたデザインとなっています。

日本国内で最も広く使用されている障害者マークは、「障害者のための国際シンボルマーク」(車椅子マーク)であると考えられます。このマークは以下の特徴を持っています:

一方で、近年では「ヘルプマーク」の認知度と使用も増加しています。2022年の内閣府の調査によると、ヘルプマークの認知率は52.3%に達しています。しかし、ヘルプマークは比較的新しく(2012年に東京都で導入)、まだ「障害者のための国際シンボルマーク」ほど広く普及していません。

したがって、現時点では「障害者のための国際シンボルマーク」が日本国内で最も多く使用されている障害者マークであると言えます。

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