一般障害者と特別障害者の違いは、主に障害の重さによって区分されます。
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特別障害者
特別障害者は、より重度の障害を持つ方を指します。以下のような方が特別障害者に該当します。
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- 身体障害者手帳1級または2級所持者
- 精神障害者保健福祉手帳1級所持者
- 療育手帳(愛護手帳)1~2度(A)所持者
- 重度と判定された知的障害者
- 戦傷病者手帳特別項症から第3項症該当者
- 原爆症認定を受けている方
- 成年被後見人
- 6か月以上寝たきりで複雑な介護が必要な方
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一般障害者
一般障害者は、特別障害者ほど重度ではないが、障害を持つ方を指します。以下のような方が一般障害者に該当します。
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- 身体障害者手帳3~6級所持者
- 精神障害者保健福祉手帳2~3級所持者
- 療育手帳(愛護手帳)3~4度(B・C)所持者
- 中度または軽度と判定された知的障害者
- 戦傷病者手帳第4~第6項症該当者
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この区分は税法上の控除額にも影響し、特別障害者は一般障害者よりも大きな控除を受けることができます。また、特別障害者の中でも、納税者やその家族と同居している場合は「同居特別障害者」として、さらに大きな控除を受けられる場合があります。
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特別障害者と一般障害者の税額控除には以下のような違いがあります。
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所得税控除額
- 一般障害者: 27万円
- 特別障害者: 40万円
- 同居特別障害者: 75万円
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住民税控除額
- 一般障害者: 26万円
- 特別障害者: 30万円
- 同居特別障害者: 53万円
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特別障害者は一般障害者よりも控除額が大きくなっています。これは、特別障害者がより重度の障害を持つ方を指すためです。
同居特別障害者とは、納税者と同居している特別障害者である配偶者または扶養親族を指し、最も大きな控除額が適用されます。
なお、住民税については、前年の合計課税所得金額が135万円以下(給与収入のみの場合は年収204万4,000円未満)の障害者本人には住民税が課されません。
これらの控除は、障害の程度に応じて税負担を軽減する目的で設けられています。
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特別障害者と一般障害者の介護の程度には明確な違いがあります。
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特別障害者の介護程度
特別障害者は、より重度の障害を持ち、日常生活において常時介護が必要となる方を指します。具体的には以下のような状態が該当します。
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- 6か月以上寝たきりで複雑な介護が必要な方
- 日常生活を遂行する能力が著しく低下している
- 食事や排泄がひとりでできない
- 歩行や両足での立位保持がほとんどできない
- 意思の伝達がほとんどできない場合が多い
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一般障害者の介護程度
一般障害者は、特別障害者ほど重度ではありませんが、一定の介助や支援を必要とする方を指します。具体的には以下のような状態が該当することがあります。
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- 食事や排泄に何らかの介助を必要とすることがある
- 立ち上がりや歩行などに不安定さが見られる
- 衣服の着脱はなんとかできる
- 物忘れや直前の行動の理解の一部に低下が見られることがある
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特別障害者は一般障害者と比較して、より高度かつ継続的な介護を必要とする状態にあると言えます。この介護の程度の違いが、税制上の控除額の差異にも反映されています。
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特別障害者と一般障害者の介護サービスには、主に以下のような違いがあります。
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サービスの種類と内容
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特別障害者向けサービス
- 重度訪問介護
- 常時介護を要する重度の障害者に対して提供される
- 居宅での介護、外出時の移動介護、病院等での意思疎通支援など、総合的なサービスを提供
- 重度障害者等包括支援
- 意思疎通に著しい困難がある最重度の障害者向け
- 居宅介護、生活介護、短期入所など複数のサービスを包括的に提供
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一般障害者向けサービス
- 居宅介護
- 比較的軽度の障害者に対して提供される
- 入浴、排せつ、食事等の介護や家事援助を行う
- 生活介護
- 常時介護を要する障害者に対して、主に日中に提供される
- 入浴、排せつ、食事等の介護や創作的活動の機会を提供
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サービス利用の条件
- 特別障害者向けサービス(例:重度訪問介護)
- 障害支援区分が区分4以上の者が対象
- 一般障害者向けサービス(例:居宅介護)
- 障害支援区分が区分1以上の者が対象
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サービスの提供時間と範囲
- 特別障害者向けサービスは、より長時間かつ広範囲のサービスを提供する傾向がある
- 一般障害者向けサービスは、比較的短時間で特定の支援に焦点を当てたサービスが多い
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特別障害者は一般障害者と比較して、より高度かつ継続的な介護を必要とする状態にあるため、提供されるサービスの内容や範囲に違いが生じます。ただし、個々の障害の状況や必要性に応じて、適切なサービスが提供されるよう、個別支援計画が作成されます。
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特別障害者と一般障害者の介護費用には、障害の重度や必要なサービス内容に応じて以下のような違いがあります。
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特別障害者の介護費用
- 重度訪問介護や包括支援など、特別障害者向けのサービスは長時間・高度なケアが必要なため、総費用が高くなる傾向があります。
- 公的介護保険を利用した場合、自己負担割合は所得に応じて1~3割となりますが、要介護度が高いほどサービス単価が上昇します。例えば、要介護5(最重度)の場合、1回のサービスで最大約3,504円(8時間以上9時間未満、3割負担の場合)。
- 特別養護老人ホームなど施設利用時の月額費用は、要介護5で約10万6,410円(居住費・食費・介護保険1割負担額を含む)。
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一般障害者の介護費用
- 居宅介護や生活介護などの一般障害者向けサービスは、比較的軽度な支援を提供するため、費用も抑えられる傾向があります。
- 例えば、要介護1(軽度)の場合、同じ条件で1回あたり最大2,007円(8時間以上9時間未満、3割負担の場合)。
- 施設利用時の月額費用も特別障害者より低くなることが多い。要介護1では月額約9万7,950円。
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高額介護サービス費制度
- 特別障害者も一般障害者も、公的制度により自己負担額には上限が設定されています。例えば、市区町村民税非課税世帯では月額15,000円~24,600円が上限。
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特別障害者は重度のケアを必要とするため、サービス単価や総費用が一般障害者より高くなる傾向があります。ただし、公的支援制度によって自己負担額は一定程度抑えられています。
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特別障害者と一般障害者の介護認定基準は、障害の重度や日常生活の自立度に基づいて区分されます。以下にその違いを説明します。
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特別障害者の認定基準
特別障害者は、より重度の障害を持ち、日常生活において高度な介護が必要な方を対象とします。具体的な基準は以下の通りです。
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- 常に就床を要する状態:6か月以上寝たきりで、食事や排泄などの日常生活に支障がある場合。
- 日常生活自立度:「障がい高齢者の日常生活自立度」がランク「B1」「B2」「C1」「C2」のいずれかに該当する場合。
- 知的障害・精神障害:行動関連項目の評価点数が高く、日常生活で常時見守りや介助が必要な場合(例:点数合計10点以上)。
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一般障害者の認定基準
一般障害者は、特別障害者ほど重度ではないものの、一定の介助を必要とする方が対象です。具体的な基準は以下の通りです。
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- 日常生活自立度:「自立」「J1」「J2」「A1」「A2」のいずれかに該当する場合。
- 要介護認定:「要介護1~2」に該当し、一部の日常動作に支援が必要な状態(例:起き上がりや歩行が困難)。
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主要な違い
区分 | 特別障害者 | 一般障害者 |
日常生活自立度 | ランク「B1~C2」 | ランク「自立~A2」 |
介護必要度 | 常時複雑な介護が必要 | 一部の動作に支援が必要 |
要介護認定 | 「要介護3~5」に該当する場合 | 「要介護1~2」に該当する場合 |
これらの基準は、税控除や福祉サービス利用時にも影響し、特別障害者にはより手厚い支援が提供されます。