A型作業所とB型作業所は、障害者が働くための福祉サービスですが、以下の点で大きく異なります。
雇用契約の有無
- A型作業所: 利用者は事業所と雇用契約を結びます。そのため、最低賃金以上の給料が保障されます。
- B型作業所: 雇用契約を結ばず、作業の成果に応じた「工賃」を受け取ります。工賃には最低賃金の適用がなく、収入はA型よりも低い傾向があります。
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収入の違い
- A型作業所:平均時給は947円、月収平均は83,551円(2024年時点)。
- B型作業所:平均工賃は月17,031円、時給換算で243円(2024年時点)。
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働き方の柔軟性
- A型作業所: 一定の勤務時間内で仕事をこなし、社会性や責任感が求められます。
- B型作業所: 障害や体調に応じて働く時間や日数を調整可能。無理のないペースで働ける環境が特徴です。
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対象者
- A型作業所: 雇用契約に基づいて働ける人が対象。一般企業への就職を目指す訓練も含まれます。
- B型作業所: 雇用契約に基づく就労が困難な人が対象。リハビリやスキル習得を目的とする場合もあります。
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仕事内容
- A型作業所: ピッキング、梱包、データ入力など比較的軽い作業が多いが、一定の生産性が求められる。
- B型作業所: 農作業や手工芸品制作など多様な軽作業を行い、自分のペースで進められる。
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これらの違いにより、自分の状況や目標に応じてどちらかを選ぶことができます。
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就労継続支援A型事業所(A型作業所)での具体的な作業内容は多岐にわたります。主な作業内容は以下の通りです。
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軽作業・製造関連
- ピッキング(商品の仕分け)
- 機械部品のシール貼り
- 洋菓子の箱作り、ライン作業での箱詰め
- 簡単な部品の組み立て
- 車部品の加工
- パン作り
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事務・IT関連
- データ入力業務
- WEBデザイン
- インターネットオークションのための写真撮影
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サービス業関連
- レストランやカフェのホールスタッフ
- ホテルやビルの清掃業務
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農業関連
- 農作業(栽培、パック詰めなど)
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その他
- 弁当作成
- 梱包作業
- 在庫管理、発注業務
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これらの作業は、臨機応変な対応や高度な対人コミュニケーション能力をあまり必要としない傾向があります。
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A型事業所では、利用者の障害特性や能力に応じて適切な作業が割り当てられます。
就労時間は一般的に1日4~6時間程度で、通常の雇用よりも短く設定されていることが多いです。雇用契約を結ぶため、最低賃金以上の給料が保障され、2025年現在、平均月収は83,551円となっています。
A型事業所では、一定の作業をこなす必要がありますが、ノルマや残業はほとんどありません。社会復帰を目指しながら収入を得られることがA型事業所の特徴です。
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就労継続支援B型事業所での具体的な作業内容は、事業所によって異なりますが、以下のようなものが一般的です。
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主な作業内容
- 製造・加工
- パンやお菓子の製造・販売
- 手工芸品の制作(織物、縫製など)
- 部品の組み立て、検品、袋詰め
- 農業・園芸
- 野菜や花の栽培、収穫
- 農作物の販売
- サービス業関連
- カフェやレストランでの接客・調理補助
- 宿泊施設やオフィスの清掃
- クリーニング作業
- IT・クリエイティブ関連
- データ入力やWebサイト制作
- 動画編集やCGモデリング
- eスポーツやアニメ声優関連の活動
- リサイクル・軽作業
- 空き缶やペットボトルのリサイクル作業
- 商品の仕分けや袋詰め
- 洗車や施設外での草取りなど
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特徴
- 作業内容は利用者の障害特性や体調に配慮して選ばれます。
- 短時間で行える軽作業が中心ですが、近年ではクリエイティブな分野にも対応した事業所が増えています。
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就労継続支援A型事業所での勤務時間は、事業所や利用者の状況によって異なりますが、以下のような特徴があります。
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勤務時間の概要
- 1日の勤務時間: 主に4~6時間程度が多く、厚生労働省の調査では「4時間以上4時間30分未満」に設定されている事業所が約半数を占めています。
- 週あたりの労働時間: 20~30時間が最も一般的で、次いで30~40時間程度の勤務が多いです。
- フルタイム勤務: 一部の事業所ではフルタイム(7~8時間)で働くことも可能ですが、対応している事業所は少数です。
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タイムスケジュール例
- 4.5時間勤務の場合:
- 09:00~12:00 作業
- 12:00~13:00 昼休憩
- 13:00~15:30 作業
- 6時間勤務の場合:
- 09:00~12:00 作業
- 12:00~13:00 昼休憩
- 13:00~16:00 作業
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特徴
- 残業はほぼなく、定時で終了することが一般的です。
- 勤務時間は利用者の体調や障害特性に合わせて柔軟に設定される場合があります。
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これにより、無理なく働ける環境が整備されています。
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就労継続支援B型事業所での勤務時間は、利用者の状況や希望に応じて柔軟に設定できます。主な特徴は以下の通りです。
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勤務時間の特徴
- 1日の勤務時間は通常2〜4時間程度が多い
- 事業所の開所時間(通常4〜8時間)内で自由に選択可能
- 週あたりの平均就労時間は約22時間
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勤務日数
- 決められた勤務日数はなく、週1日以下から週5〜6日まで自由に選択可能
- 多くの事業所は平日メインで開所し、土日祝日は休み
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柔軟性
- 1時間だけの短時間利用も可能
- 体調や障害特性に合わせて日々の勤務時間を調整できる
- 毎日短時間の利用を勧められることが多い
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注意点
- 事業所によっては最低通所日数や時間が設定されている場合がある
- 雇用契約がないため、有給休暇はない
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B型事業所では、利用者の状況に合わせて無理のない範囲で働くことができます。勤務時間や日数は支援員と相談しながら決めることが一般的です。
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就労継続支援A型事業所での労働時間の変動は、以下の要因によって決まります。
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1. 利用者の体調や希望
- 利用者の体調や障害特性に応じて、勤務時間を柔軟に調整することが可能です。
- 希望する収入や生活リズムに合わせて、勤務時間が設定されます。
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2. 事業所の方針とルール
- 一般的な勤務時間は1日4~6時間程度ですが、事業所によって異なります。
- 「4時間ルール」という基準があり、週20時間未満(1日4時間程度)の短時間勤務も認められる場合があります。
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3. 報酬スコア方式
- 労働時間が事業所の報酬に影響するため、平均労働時間を考慮して調整されることがあります。
- 例えば、1日の平均労働時間が短い場合は報酬スコアが低くなるため、事業所側が一定の労働時間を確保しようとする場合もあります。
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4. 雇用契約内容
- 雇用契約に基づき、週20~30時間程度の勤務が一般的ですが、契約内容によって変動します。
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これらの要因を踏まえ、利用者と事業所が相談しながら労働時間を決定する仕組みになっています。
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就労継続支援B型事業所での労働時間は、利用者の状況や希望に応じて柔軟に決定されます。主な特徴は以下の通りです。
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労働時間の決定要因
- 利用者の希望と状況
- 体調や障害特性に合わせて日々の勤務時間を調整できます。
- 支援員との相談を通じて、無理のない範囲で決定されます。
- 事業所の開所時間
- 通常4〜8時間の開所時間内で自由に選択可能です。
- 多くの事業所は平日メインで開所しています。
- 柔軟性
- 1時間だけの短時間利用も可能です。
- 1日の勤務時間は通常2〜4時間程度が多いですが、事業所によっては1時間と定めているところもあります。
- 事業所の方針
- 一部の事業所では最低通所日数や時間が設定されている場合があります。
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労働時間の特徴
- 週あたりの平均就労時間は約22時間です。
- 次いで多いのが25〜30時間および30〜35時間で、これらが全体の60%以上を占めています。
- 雇用契約がないため、出欠や労働時間は事業所のサービス提供時間内であれば自由です。
B型事業所では、利用者が無理なく働き続けられるよう、個々の状況に合わせた柔軟な労働時間の設定が可能となっています。
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A型事業所での労働時間の変動は、主に変形労働時間制を活用して週所定労働時間と実労働時間のバランスを保っています。具体的には以下のような方法で調整を行っています。
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変形労働時間制の活用
- 1ヶ月単位の変形労働時間制
- 1ヶ月以内の一定期間を平均して、1週間当たりの労働時間を40時間以内に調整します。
- 例えば、閑散期の週は1日6時間勤務、繁忙期の週は1日10時間勤務というように柔軟に調整できます。
- 1年単位の変形労働時間制
- 年間の繁閑期に合わせて勤務調整を行います。
- 繁忙期の月は1日8.5時間勤務、閑散期の月は1日7.5時間勤務など、月ごとの労働時間を変動させることが可能です。
バランス調整の方法
- 週単位の調整: 週40時間を超えないように、日々の労働時間を調整します。
- 月単位の調整: 1ヶ月の所定労働時間の上限(例:173.75時間)を超えないように調整します。
- 年単位の調整: 年間の総労働時間が法定労働時間を超えないように調整します(例:2,085.714時間)。
注意点
- 所定労働時間設定後は労働時間の変更ができないため、事前に慎重な計画が必要です。
- 対象期間の所定労働時間を明確にし、労働者に事前に通知する必要があります。
これらの方法により、A型事業所は利用者の体調や障害特性に配慮しつつ、法定労働時間を遵守し、効率的な業務運営を行うことができます。