障害のある方が、移動や宿泊、観光などを安心して楽しめるように配慮された旅行のことを「バリアフリー旅行」といいます。
バリアフリー旅行のポイント
- 移動手段:
- 車いすでの移動が可能な交通機関(バリアフリー対応のバス、電車、飛行機など)の利用
- リフト付きバスや介護タクシーの手配
- 宿泊施設:
- 車いすで利用しやすい広い部屋や浴室、バリアフリー対応のトイレなどを備えた宿泊施設の選択
- 介助が必要な場合のサポート体制の確認
- 観光施設:
- 車いすで移動しやすいように、段差の少ないルートやスロープ、エレベーターなどが整備されている観光施設の選択
- 障害の種類に応じた情報提供(点字案内、音声ガイドなど)の有無の確認
- 食事:
- アレルギー対応や、刻み食、ペースト食など、個別のニーズに対応してくれるレストランや宿泊施設の選択
- 情報収集:
- バリアフリー旅行に関する情報サイトや、専門の旅行会社を利用して、事前に情報を収集し、計画を立てることが重要です。
バリアフリー旅行をサポートするサービス
- バリアフリー旅行専門の旅行会社: 障害のある方の旅行を専門に扱う旅行会社では、個別のニーズに合わせた旅行プランの提案や、介助者の手配などを行っています。
- バリアフリー観光情報サイト: 各地域のバリアフリー観光情報をまとめたサイトでは、バリアフリー対応の宿泊施設や観光施設、交通機関などの情報を得ることができます。
- 自治体の相談窓口: 各自治体では、障害のある方の旅行に関する相談窓口を設けている場合があります。
その他
- バリアフリー旅行は、障害のある方だけでなく、高齢の方や、ベビーカーを利用する方も含め、誰もが快適に旅行を楽しむためのものです。
- 近年、バリアフリーに対する意識が高まり、バリアフリー対応の施設やサービスが増えてきています。
バリアフリー旅行の費用は、旅行内容やサービス内容によって大きく異なります。以下に主な費用の目安をまとめます。
宿泊費
- 1泊2食付きで約16,650円程度(条件により変動)。
移動費
- 介護タクシー:1日あたり8万〜12万円(7人乗り)。
- 観光バス:
- 大型リフト付き:15万〜20万円/日。
- 中型リフト付き:10万〜17万円/日。
- マイクロリフト付き:12万〜17万円/日。
添乗員・介護スタッフ同行費
- 添乗員派遣:1日19,500円(税込)。
- ヘルパー同行料:1泊2日の旅行で約5万円以上。
個別介助サービス
- 半日(4時間):10,800円〜15,200円(介護度に応じて変動)。
- 1日(8時間):19,500円〜23,800円。
- 夜間同室宿泊:8,600円。
その他の費用
- バリアフリー観光地入場料、食事代、交通費などは実費負担。
- オプションサービス(例:温泉介助、医療用具貸出など):追加料金が発生する場合あり。
旅行の内容や利用するサービスによって総額は大きく変わりますが、一般的には数万円から十数万円程度が目安です。オーダーメイドプランの場合、さらに詳細な見積もりが必要です。
バリアフリー旅行の予約方法は以下の手順で進めることができます。
宿泊施設の予約
- 大手予約サイトを活用
「じゃらん」「楽天トラベル」「Yahoo!トラベル」などの大手予約サイトで、キーワード検索に「バリアフリー」や「ユニバーサル」を入力して対応施設を絞り込む方法がおすすめです。特に「ユニップ」ではバリアフリー対応の宿泊施設を専門的に掲載しています。 - 公式サイトの確認
大手予約サイトと公式サイトを比較し、独自プランや割引がある場合は公式サイトから予約することも検討してください。 - 事前連絡
宿泊先に車椅子利用や必要なサポートについて事前に伝えておくと安心です。
移動手段の予約
- 新幹線
車椅子席はみどりの窓口、電話、またはWEBで予約可能です。乗車日の1ヵ月前から2日前までに予約し、乗降駅でのサポートも申し込む必要があります。 - 飛行機
航空会社のHPや電話で航空券を予約し、車椅子利用者であることを事前に伝えます。障がい者割引制度も活用可能です。 - 介護タクシーやリフト付きバス
専門サービスを通じて福祉車両を手配することができます。
専門サービスの利用
- 「北海道バリアフリー観光手配センター」など、地域特化型のサービスでは宿泊、移動、食事などを一括で手配可能です。
- 「HISユニバーサルツーリズムデスク」などの旅行会社専用窓口も利用できます。
これらの方法を組み合わせることで、安全で快適なバリアフリー旅行を計画できます。
バリアフリー旅行における添乗員は、障害者や高齢者の特別なニーズに対応できるよう、専門的な知識と経験を持つ人が選ばれます。以下に選定基準や特徴をまとめます。
添乗員の選定基準
- 福祉分野の知識と経験
添乗員は福祉分野を学んだ経験や、障害者・高齢者向け旅行の添乗経験が重視されます。例えば、車椅子利用者との添乗経験が豊富な人や、国内外でのバリアフリー旅行に携わった実績がある人が選ばれます。 - 研修と資格
バリアフリー旅行に特化した研修を受けていることが求められます。観光庁の「心のバリアフリー認定制度」に基づく研修や、現場での困りごとの対処方法を学ぶプログラムへの参加が必要です。 - 障害者対応スキル
手話や筆談などのコミュニケーション能力を持つ添乗員が選ばれることがあります。特に聴覚障害者向けツアーでは手話通訳ができる添乗員が同行する場合もあります。 - 実務経験
実際に多様な障害者や高齢者をサポートした経験があることが重要です。例えば、観光地での移動介助や温泉施設でのサポートなど、多岐にわたる実務経験を持つ添乗員が選ばれます。
添乗員の役割
- 障害者や高齢者の移動介助(車椅子介助、段差対応など)。
- 旅行中の安全確保と緊急時対応。
- 事前調査による宿泊施設や観光地のバリア情報提供。
- 個別ニーズへの対応(特別食手配、医療用具準備など)。
このような基準を満たす添乗員が選ばれることで、参加者が安心して旅行を楽しめる環境が整えられています。
バリアフリー旅行におすすめの観光地は全国各地に点在しており、障害者や高齢者が安心して楽しめる設備が整っています。以下に主な観光地をまとめます。
関東地方
- ムーミンバレーパーク(埼玉県)
車椅子利用者や身体障害者向けの設備が整ったテーマパーク。自然とキャラクターの世界を楽しめます。 - 箱根(水族館)(神奈川県)
車椅子対応の水族館や温泉施設があり、ゆったりと過ごせる観光地。 - 千葉県(動植物園)
車椅子でもアクセスしやすい動植物園で、自然と触れ合えるプランが人気です。
東海地方
- 伊勢志摩(三重県)
伊勢神宮やおかげ横丁など、バリアフリー対応の観光スポットが充実。専用ツアーも多数あります。 - 鳥羽(三重県)
バリアフリー対応の海水浴場やリゾート施設で、家族旅行にも適しています。
関西地方
- ユニバーサル・スタジオ・ジャパン(大阪府)
車椅子利用者向けの設備が整い、幅広い世代で楽しめるテーマパーク。
九州地方
- 平戸(長崎県)
歴史的な街並みと食文化を満喫できるバリアフリー対応の観光地。
北海道
- 知床五湖
広大な自然を車椅子でも楽しめる散策コースが整備されています。
これらの観光地では、バリアフリー設備だけでなく、専用ツアーやサポートサービスも充実しているため、障害者や高齢者でも安心して旅行を楽しむことができます。
バリアフリー旅行の宿泊施設では、障害者手帳を提示することでさまざまな割引を受けられます。以下に主な割引内容をまとめます。
宿泊施設での割引例
- 休暇村
- 障害者本人と介護者1名につき、1人1泊あたり1,650円の割引。
- 国民宿舎
- 室料が10%割引(事前確認が必要)。
- 特定施設での大幅割引
- 例:静岡県伊豆潮風館では、通常5,000円の宿泊費が障害者手帳提示で50%オフ(2,500円)。
- ミライロクーポン(エクスペディアなど)
- 宿泊費が10%割引。
- 自治体助成金制度
- 東京都休養ホーム事業では、宿泊費用の一部助成が適用される場合もある。
その他の割引条件
- 割引は障害者本人だけでなく、付き添いの介護者1名にも適用される場合が多い。
- 一部施設では、障害者本人が無料、介護者が半額になるケースもある。
これらの割引を活用することで、通常よりもお得にバリアフリー旅行を楽しむことができます。事前に対象施設や条件を確認することが重要です。