障害者支援サービス(障害福祉サービス)は、障害のある方が日常生活や社会生活を円滑に送るために必要な支援を提供する公的なサービスです。これらのサービスは「障害者総合支援法」に基づき、以下のように大きく分けられます。
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主なサービス内容
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1. 介護給付(生活支援)
- 居宅介護: 自宅での入浴、排せつ、食事などの日常生活の介護。
- 重度訪問介護: 重度の障害がある方への日常的な介護や外出支援。
- 同行援護: 視覚障害者が安全に移動できるよう情報提供や移動支援を行う。
- 療養介護: 医療機関での機能訓練や看護、介護を含む日常生活支援。
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2. 訓練等給付(自立・就労支援)
- 自立訓練: 日常生活や社会生活を自立して行うための訓練。
- 就労移行支援: 一般就労を目指すための職業訓練やサポート。
- 就労継続支援: 一般就労が難しい方への作業提供や職場環境の整備。
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3. 地域生活支援
- 障害者が地域で安心して暮らせるよう、移動支援や相談支援を提供。
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対象者
- 身体障害、知的障害、精神障害、発達障害などのある方。
- 難病患者なども一部対象。
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利用方法
- 市区町村窓口に申請し、「障害福祉サービス受給者証」を取得。
- サービス計画を作成後、提供事業所と契約して利用開始。
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これらは利用者負担が原則1割となっており、所得に応じた負担上限が設定されています。サービス内容は個々の状況に応じて調整されます。
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障害者支援サービスの対象となる障害者は、主に以下の3つのカテゴリーに分類されます。
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- 身体障害者
身体障害者手帳の対象となる方で、以下のような障害がある人が含まれます。
- 視覚障害
- 聴覚・平衡機能障害
- 音声・言語・そしゃく障害
- 肢体不自由(上肢不自由、下肢不自由、体幹機能障害、脳原性運動機能障害)
- 内部障害(心臓、じん臓、呼吸器、ぼうこう・直腸、小腸、HIV免疫、肝臓機能障害)
- 知的障害者
療育手帳の対象となる知的障害がある方。 - 精神障害者
精神障害者保健福祉手帳の対象となる方で、以下のような障害がある人が含まれます。
- 統合失調症
- 気分(感情)障害
- 非定型精神病
- てんかん
- 発達障害
- その他の精神疾患
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さらに、難病患者も一部のサービスの対象となります。
障害の程度は、それぞれの手帳制度で定められた等級によって判断されます。例えば、身体障害者手帳は1級から6級まで、精神障害者保健福祉手帳は1級から3級までの等級があります。
これらの障害により、日常生活や社会生活に制限がある方が、障害者支援サービスの対象となります。
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障害者支援サービスの申請手続きは、以下の流れで進められます。
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1. 相談と申請準備
- お住まいの市区町村の福祉窓口や障害者相談支援センターに相談し、必要なサービスを確認します。
- 必要書類を準備します。一般的には以下が必要です。
- 障害者手帳(身体障害者手帳、療育手帳、精神障害者保健福祉手帳など)
- 医師の診断書(場合による)
- 本人確認書類(マイナンバーカードや運転免許証など)
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2. 申請
- 市区町村の窓口で「障害福祉サービス受給者証」の交付申請を行います。
- サービス利用計画を作成するため、相談支援専門員と面談し、状況や希望を伝えます。
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3. 審査と認定
- 市区町村が申請内容を審査し、サービスの必要性や支給量を判定します。
- 判定結果に基づき、「障害福祉サービス受給者証」が交付されます。
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4. サービス契約と利用開始
- 認定内容に基づき、サービス提供事業所と契約を結びます。
- サービス利用が開始されます。
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申請から利用開始までには一定の期間がかかるため、早めの手続きが推奨されます。また、詳細はお住まいの市区町村窓口で確認してください。
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介護給付と訓練等給付は、障害福祉サービスの2つの主要なカテゴリーであり、それぞれ異なる目的と対象者を持っています。
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介護給付
- 目的: 主に日常生活における介護の提供
- 対象: 常時介護を必要とする障害者
- 主なサービス:
- 居宅介護(ホームヘルプ)
- 重度訪問介護
- 同行援護
- 行動援護
- 短期入所(ショートステイ)
- 療養介護
- 生活介護
- 施設入所支援
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訓練等給付
- 目的: 障害者の機能維持・向上、就労支援、自立支援
- 対象: 日常生活や社会生活の自立を目指す障害者
- 主なサービス:
- 自立訓練(機能訓練・生活訓練)
- 就労移行支援
- 就労継続支援(A型・B型)
- 就労定着支援
- 自立生活援助
- 共同生活援助(グループホーム)
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主な違い
- サービスの焦点:
- 介護給付: 日常生活の基本的なケアに重点
- 訓練等給付: 自立や就労に向けた訓練や支援に重点
- 期間:
- 介護給付: 継続的な支援が多い
- 訓練等給付: 一定期間の訓練が多い(例:就労移行支援)
- 目標:
- 介護給付: 日常生活の維持と質の向上
- 訓練等給付: 社会参加や就労の実現
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これらの給付は、障害者の個別のニーズや状況に応じて適切に組み合わせて提供されます。
地域生活支援サービスは、障害者の個々のニーズや状況に応じて提供されるため、特定の日数や期間が一律に定められているわけではありません。これらのサービスは、障害者が地域で自立した生活を送るために必要な支援を継続的に提供することを目的としています。
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地域生活支援の一環として、2024年4月1日から施行される改正では、以下のような取り組みが強化されます。
- グループホームの支援機能拡充:一人暮らしを希望する障害者に対して、退居後も一定期間相談等のバックアップを行います。
- 基幹相談支援センターと地域生活支援拠点の整備:市町村の努力義務となり、障害者が安心して地域生活を送れるよう、継続的な支援体制が整備されます。
- 精神保健に関する相談支援の対象拡大:精神障害者だけでなく、精神保健に課題を抱える人も対象となり、包括的な支援が提供されます。
これらの支援は、障害者の生活状況や必要性に応じて柔軟に提供されるため、特定の日数や期間は設定されていません。支援の内容や頻度は、個別の支援計画に基づいて決定されます。
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地域生活支援事業は、障害者や障害児が自立した日常生活や社会生活を送れるよう、地域の特性や利用者の状況に応じて柔軟に提供されるサービスです。主な内容は以下の通りです。
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市町村が提供する主なサービス
- 相談支援事業: 障害者や保護者からの相談に応じ、必要な情報提供や権利擁護のための援助を行います。
- 意思疎通支援事業: 聴覚、視覚、言語機能などに障害がある方に、手話通訳者や要約筆記者の派遣、点訳、代読などの支援を行います。
- 日常生活用具給付等事業: 重度障害者に対し、自立生活支援用具などの日常生活用具の給付や貸与を行います。
- 移動支援事業: 屋外での移動が困難な障害者に対し、外出のための支援を提供します。
- 地域活動支援センター: 障害者が通い、創作的活動や生産活動の機会の提供、社会との交流の促進等を行います。
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都道府県が提供する主なサービス
- 専門性の高い相談支援事業: 発達障害や高次脳機能障害など、特に専門性の高い相談に対応し、必要な情報提供を行います。
- 専門性の高い意思疎通支援を行う者の養成・派遣事業: 手話通訳者、要約筆記者、盲ろう者向け通訳・介助員の養成と派遣を行います。
- 広域的な支援事業: 市町村域を越えて広域的な支援が必要な事業を実施します。
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これらのサービスは、地域の実情や個々の障害者のニーズに応じて柔軟に提供されます。利用にあたっては、居住する市町村への申請が必要です。
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地域生活支援事業の利用料金は、サービスの種類や利用者の所得状況によって異なります。以下に主な料金体系を示します。
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移動支援サービス
令和6年4月改訂の料金表によると:
- 個別支援型(身体介護を伴う場合)
- 30分未満: 256円
- 30分以上60分未満: 404円
- 60分以上90分未満: 587円
- 以降30分ごとに料金が加算
- 個別支援型(身体介護を伴わない場合)
- 30分未満: 106円
- 30分以上60分未満: 197円
- 60分以上90分未満: 275円
- 以降30分ごとに料金が加算
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利用者負担
- 市民税課税世帯: サービス費用の5%(上限月額15,000円)
- 市民税非課税世帯・生活保護世帯: 無料
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地域活動支援センター
- 基本的に無料
- 一部施設では100円〜200円程度の利用料金
- 材料費、おやつ代、シャワー代、コーヒー代などは実費負担
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なお、これらの料金は原則として1割負担となりますが、負担上限月額が設定されています1。また、18歳未満の障害児の場合、世帯員の市民税所得割額の合計が28万円未満であれば無料になります。
利用料金や負担額は自治体や施設によって異なる場合があるため、詳細は各自治体や利用を希望する施設に確認することをお勧めします。