発達障害者支援センターの主な支援内容
発達障害者支援センターは、ASD(自閉スペクトラム症)やADHDなどの発達障害を持つ人とその家族に対し、以下のような総合的な支援を行います。
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- 相談支援
日常生活での困りごと(コミュニケーション、学校・職場での課題など)について、本人・家族・関係者からの相談を受け付けます。福祉制度の案内や医療機関・教育機関との連携も行います。 - 発達支援
発達検査の実施や特性に応じた支援計画の作成、家庭療育のアドバイスを提供。児童相談所や医療機関と連携しながら、療育・教育方法を提案します。 - 就労支援
就職希望者に対してハローワークや障害者職業センターとの連携による情報提供、職場環境調整の助言を行います。 - 普及啓発・研修
地域住民向けの講演会やパンフレット配布を通じた理解促進、支援者向けの専門研修を実施します。
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生活スキル支援について
発達障害者支援センターは生活スキルの習得を間接的に支援します。具体的には……
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- 家庭での療育アドバイスを通じ、日常生活で必要なスキル(コミュニケーション、自己管理など)の習得を促します。
- 発達検査結果に基づく個別支援計画を作成し、生活スキル向上に向けた具体的な方法を提案。
- 地域の療育機関や福祉サービスとの連携により、通所施設での生活スキル訓練につなげる橋渡しを実施。
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特に埼玉県など一部地域では、学齢期の子どもを対象に「将来を見据えた生活スキル習得」をテーマにした専門研修を実施し、家庭と支援機関の連携方法を指導しています6。ただし、直接的なスキル訓練よりも、支援計画の作成や関係機関の紹介が中心となる点に注意が必要です。
診断の有無にかかわらず利用可能で、発達障害の特性による日常生活の困難全般に対応します。
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発達障害者支援センターの利用方法
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発達障害者支援センターの利用は、以下の流れで進みます。
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- 窓口への相談
本人・家族・関係者が直接来所するか、電話・メールで相談を開始します。相談内容(日常生活の課題・行動特性・就労問題など)を事前に整理しておくとスムーズです。 - 支援内容の決定
相談内容を基に、発達検査(知能検査・生活スキル評価など)の実施や支援計画の作成を検討。診断未受診の場合は医療機関を紹介され、特性に応じた療育・教育方法を話し合います。 - 関係機関との連携
必要に応じて、児童発達支援施設・障害者職業センター・学校・企業などと連携し、具体的な支援を調整。就労支援ではハローワークとの協力も行われます。
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特徴的なポイント:
▸ 診断の有無不要:発達障害の診断が未確定でも相談可能
▸ 家族単独相談:本人が同行できない場合でも家族のみで相談可能
▸ 無料サービス:相談・発達検査(センター実施分)は原則無料
支援内容は地域により差異があるため、まずは最寄りのセンターに連絡することが推奨されます。
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発達障害者支援センターの利用は、基本的に無料です。相談や支援、情報提供、発達検査(センターで実施される範囲)など、発達障害に関する困りごとについて、本人や家族、関係者が費用を負担することなく利用できます。
ただし、利用できる対象地域が決まっている場合があり(例:広島市のセンターは広島市在住者が対象)、また、医療機関での診断や外部機関による専門的な療育・職業訓練などは別途費用がかかる場合があります。
まとめると、発達障害者支援センターでの相談や支援は無料で受けられるので、まずは気軽に最寄りのセンターに問い合わせてみてください。
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発達障害者支援センターでは、オンライン相談が可能です。たとえば、東京都発達障害者支援センター(TOSCA)では2022年4月からオンライン相談を導入しており、来所相談・電話相談・オンライン相談のいずれかを選択できます。
オンライン相談を希望する場合は、事前予約が必要です。電話やメール、FAXで相談依頼を行い、その後センターからの案内に従って手続きを進めます。オンライン相談の際は、メールでのやりとりや同意書の提出が必要となる場合があります。
また、他の地域の発達障害者支援センターでも、面接相談・電話相談・オンライン相談のいずれかの方法で相談を受け付けている例があります。
ただし、メールだけでの相談は受け付けていない場合が多いので、詳細は利用を希望する各センターに直接お問い合わせください。
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発達障害者支援センターの支援内容は個別に決められます。
具体的なプロセスは以下の通りです。
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- 個別アセスメント
相談時に本人・家族の困りごとを詳細にヒアリングし、発達検査(知能検査・生活スキル評価など)を実施。特性や環境を多面的に分析します。 - 個別支援計画の作成
アセスメント結果に基づき、以下の要素を盛り込んだ計画を策定:- 生活スキル向上目標(コミュニケーション・自己管理等)
- 就労支援の方向性
- 関係機関との連携方法
- 柔軟な調整
支援計画は定期的に見直され、本人の成長や環境変化に応じて修正。例えば「個別療育」と「集団療育」の組み合わせ比率を変更するなど、柔軟に対応します。
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具体例:
▸ 言語発達遅滞がある場合:言語療法士との連携を強化
▸ 就労困難例:障害者職業センターと協力した職場環境調整
▸ 感覚過敏対応:作業療法士による感覚統合プログラム導入
この個別支援計画は、本人の自己決定を尊重しつつ、家族・支援者・専門機関が連携して作成される点が特徴です。ただし診断自体は外部医療機関で行う必要があるため、センターはあくまで「支援計画の立案と調整」に特化しています。
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発達障害者支援センターの相談内容の秘密性
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発達障害者支援センターの相談内容は、法律で厳格な守秘義務が課せられています。具体的な秘密保持の仕組みは以下の通りです。
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- 法的根拠
発達障害者支援法第15条により、役員・職員(および元職員)は「職務上知り得た個人の秘密を漏らしてはならない」と明記されています5。違反した場合は罰則の対象となる可能性があります。 - 実務上の対応
- 相談記録の管理:相談内容は個別ファイルで厳重に管理され、関係者以外のアクセスを制限。
- 第三者連携時:医療機関や福祉施設との連携が必要な場合でも、本人の同意を得た範囲内で最小限の情報を共有。
- 職員教育:守秘義務に関する研修を定期的に実施し、情報管理の徹底を図っています。
- 例外対応
虐待や犯罪の可能性など「緊急保護が必要なケース」に限り、福祉事務所や警察との情報共有が行われますが、原則として本人への説明が前提です。
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相談者は、自身の個人情報の取り扱い範囲を相談時に確認できます。例えば神戸市のセンターでは、臨床心理士が個別面談で相談者の同意を得ながら支援を進める仕組みを採用しています。
このように、相談内容は極めて高い秘密性が保たれ、安心して利用できる環境が整備されています。
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生活スキル向上のためのプログラムは、特に発達障害を持つ人々や特別な支援が必要な人々にとって非常に重要です。以下に、代表的なプログラムやその内容を紹介します。
生活スキル向上プログラムの例
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- Friendship Circle Life Skills Training: このプログラムでは、シミュレーションされたコミュニティ環境で、金銭管理や時間管理、社会的スキルを実践的に学ぶことができます。参加者は、実際の生活に必要なスキルを安全な環境で練習します。
- DAWN Center Independent Living Skills: 72時間の指導を通じて、職業準備や自己主張、健康管理に関するスキルを学ぶプログラムです。小グループでの個別指導が行われ、参加者は自分のペースで学ぶことができます。
- Tommy Nobis Center Training Academy: このプログラムは、教育、訓練、雇用の三段階で構成されており、職業スキルと生活スキルの開発を目指します。特に、職場での相互作用やコミュニケーション能力を強化することに重点を置いています。
- Cooking and Meal Preparation Programs: 食事の準備や料理を学ぶプログラムは、基本的な生活スキルの一環として非常に重要です。これにより、参加者は自立した生活を送るための基礎を築くことができます。
- Money Management and Budgeting: 金銭管理や予算作成に関するトレーニングは、経済的自立を促進するために不可欠です。これにより、参加者は日常生活での財務管理能力を向上させることができます。
- Transportation Skills: 交通手段の利用方法を学ぶことも重要な生活スキルの一部です。これにより、参加者は自分で移動し、必要なサービスやリソースにアクセスできるようになります。
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プログラムの目的
これらのプログラムは、以下のような目的を持っています。
- 自立支援: 参加者が日常生活を自立して行えるようにすること。
- 社会的スキルの向上: 他者とのコミュニケーションや社会的相互作用を改善すること。
- 職業準備: 就職に向けたスキルを身につけ、労働市場での競争力を高めること。
- 自己肯定感の向上: 新しいスキルを学ぶことで自信を持ち、自己価値を感じられるようにすること。
これらのプログラムは、発達障害者支援センターや特別支援学校、地域の福祉団体などで提供されており、参加者のニーズに応じた支援が行われています。
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Friendship CircleのLife Skills Trainingプログラムは、特別な支援が必要な若者たちが生活スキルを学ぶための包括的なプログラムです。このプログラムの具体的な内容は以下の通りです。
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プログラムの内容
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- シミュレーション環境での学習: プログラムは、実際の生活環境を模したシミュレーションされたコミュニティで行われ、参加者は安全な環境で生活スキルを実践的に学ぶことができます。これにより、日常生活で必要なスキルを自信を持って習得できます。
- 金銭管理と予算作成: 参加者は、金銭管理や予算作成のスキルを学び、実際の買い物や支出の計画を通じて、経済的自立を促進します。
- 時間管理: プログラムでは、時間管理の重要性を理解し、日常生活の中で効率的に時間を使う方法を学びます。これには、スケジュールの作成や優先順位の付け方が含まれます。
- 社会的スキルの向上: コミュニケーション能力や対人関係のスキルを強化するためのトレーニングが行われ、参加者は他者との効果的な交流方法を学びます。
- 問題解決能力の育成: 日常生活で直面する可能性のある問題に対処するためのスキルを身につけ、柔軟な思考を促進します。
- 健康とウェルネス: 健康的な生活を送るための基本的な知識や、身体的および精神的健康を維持するための戦略についても学びます。これには、栄養や運動に関する教育が含まれます。
- 実践的な活動: プログラムには、料理や掃除、自己管理など、実生活に役立つ具体的なスキルを学ぶためのハンズオン活動が含まれています。これにより、参加者は自立した生活を送るための基盤を築くことができます。
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このように、Friendship CircleのLife Skills Trainingプログラムは、参加者が自立し、社会に適応できるようにするための多様なスキルを提供しています。