補助犬の歴史:盲導犬から介助犬へ

盲導犬の誕生

補助犬の歴史は、盲導犬から始まりました。第一次世界大戦後の1920年代、ドイツで視覚障害を持つ退役軍人のために最初の盲導犬学校が設立されたのです。その後、1930年代にはアメリカやイギリスにも広がり、補助犬の概念が世界中に浸透していきました。

介助犬の登場

1970年代後半、アメリカで介助犬の歴史が始まりました。ボニー・バーゲン博士が「障害のある方と犬たちの関係」を考えたことがきっかけです。車椅子を使用する人々のニーズが増加したことも背景にありました。

1990年代には「アシスタンス・ドッグ・インターナショナル(ADI)」が設立され、介助犬や聴導犬の訓練・認証が本格的に始まりました。この頃から、介助犬の役割も多様化し、物を拾う、電気をつける、ドアを開けるなど、日常的なサポートが提供されるようになりました。

日本における介助犬の発展

日本では1990年代後半から介助犬の需要が高まってきました。1992年3月11日、千葉れい子がアメリカで訓練されたチェサピーク・ベイ・レトリーバーのブルースを連れて羽田に降り立ったのが、日本における介助犬の始まりです。1993年には日本で初めての介助犬が誕生しました。

2002年には「身体障害者補助犬法」が施行され、介助犬が公共施設や店舗で受け入れられる法的な基盤が整いました。現在、介助犬は視覚障害者用の盲導犬や聴覚障害者用の聴導犬と並び、障害当事者の生活を支える重要な存在として訓練され、多くの場面で活躍しています。

介助犬の種類と役割

介助犬は、障害当事者の日常生活をサポートする特別な訓練を受けた犬です。主に以下の3種類があります:

  • 1. 盲導犬:目の不自由な人が安全に歩けるようサポートします。障害物を避けたり、曲がり角や段差を教えたりします。
  • 2. 聴導犬:耳の不自由な人に必要な生活音を知らせます。玄関のチャイム音、メールやFAXの着信音、車のクラクションなどを聞き分けて伝えます。
  • 3. 介助犬:身体の不自由な人の日常生活をサポートします。ドアを開けたり、電気をつけたりするなど、障害に応じてサポートします。

介助犬を迎えるまでの流れ

介助犬を迎える場合、一般的なペット犬を飼うのとは異なり、特定の手続きと条件が必要になります。以下は基本的な流れです:

  • 1. 介助犬が必要かどうかを確認する
  • 2. 介助犬の提供団体に問い合わせる
  • 3. 申請手続きを行う
  • 4. 審査と面談を受ける
  • 5. トレーニングとマッチングを行う
  • 6. 介助犬を受け取り、アフターサポートを受ける

介助犬の提供には費用がかかりますが、多くの団体が補助金や寄付金を通じて費用の一部を負担しています。

介助犬との日常生活

介助犬との生活では、犬の健康や生活環境を整えつつ、互いの信頼関係を保ち続けることが大切です。以下のポイントに注意しましょう:

  • 1. 体調管理と健康チェック
  • 2. 食事と栄養管理
  • 3. 日常の運動
  • 4. メンタルケアとリラックス
  • 5. 清潔な生活環境
  • 6. 公共の場でのマナーと注意
  • 7. 自分の健康と管理
  • 8. 定期的な訓練とリフレッシュ

介助犬は「身体障害者補助犬法」により、公共施設や交通機関、商業施設に同伴できる権利が認められています。介助犬のユーザーは、適切なマナーを守りながら、堂々と介助犬と共に公共の場で過ごすことができます。

まとめ

介助犬は障害当事者にとって大きなサポートを提供してくれる存在です。その歴史は比較的新しいものの、急速に発展し、今では多くの人々の生活を支えています。介助犬との生活には責任と配慮が必要ですが、適切なサポートを受けながら、安心して介助犬と生活を送ることができます。介助犬との信頼関係を築き、お互いを支え合う関係を作ることで、より豊かな生活を送ることができるでしょう。