視覚障害者等の読書環境の整備の推進に関する法律。これでは長すぎるので読書バリアフリー法と呼ばれています。これは障害の有無にかかわらず、全ての人が読書を通じて文字・活字文化の恵沢を享受することができる社会の実現を目指す法律です。2019年6月に施行されました。
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対象となる人
この法律で「視覚障害者等」と定義されているのは、視覚障害だけでなく、発達障害、肢体不自由など、その他の障害により、書籍(雑誌、新聞などを含む)について、視覚による表現の認識が困難な人です。具体的には、以下のような方が含まれます。
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- 視覚に障害のある方(全盲、弱視など)
- 文字を読むことに困難のある発達障害の方(ディスレクシアなど)
- 本を持つことやページをめくることが難しい肢体不自由の方
- 病気や加齢により視力が低下し、読書が困難になった方
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法律の主な内容
読書バリアフリー法では、国や地方公共団体、図書館、出版社など、様々な関係機関に対して、視覚障害者等の読書環境を整備するための取り組みを求めています。主な内容は以下の通りです。
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- アクセシブルな書籍等の提供の推進:
- 点字図書、拡大図書、録音図書(オーディオブック、デイジー図書など)の製作・提供の拡充
- 文字の大きさや色を変更できる電子書籍、音声読み上げ機能のある電子書籍などの普及
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- 図書館におけるサービスの充実:
- アクセシブルな書籍等の収集・提供
- 対面朗読サービスの実施
- 郵送貸出サービスの提供
- 読書支援機器の導入
- バリアフリー設備の整備
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- 情報提供・普及啓発:
- アクセシブルな書籍に関する情報提供
- 読書バリアフリーに関する理解を深めるための啓発活動
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- 関係機関の連携強化:
- 国、地方公共団体、図書館、出版社、障害者団体などの連携を促進し、効果的な取り組みを推進
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- アクセシブルな電子書籍等の販売等の促進:
- 技術の進歩を反映した規格の普及
- 著作権者と出版者の契約に関する情報提供
- 書籍購入者へのテキストデータ提供の促進
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法律の目的
読書バリアフリー法の目的は、障害のある人もない人も、誰もが等しく読書の機会を得て、文字・活字文化の恵沢を享受できる社会を実現することです。これにより、障害のある方の学習機会の保障、情報へのアクセス向上、社会参加の促進などが期待されています。
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読書バリアフリー法の具体的な施行例には、以下のような取り組みがあります。
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1. 図書館でのサービス提供
- 大活字本や点字図書の提供: 多くの図書館では、視覚に障害がある方や高齢者向けに、大きな文字で印刷された本や点字に翻訳された本を取り揃えています。これにより、視覚的な制約を持つ利用者が読みやすい形式で本を利用できるようにしています。
- 朗読サービス: 一部の図書館では、朗読奉仕グループによる朗読CDの貸出を行っており、視覚障害者が音声で本の内容を楽しむことができるようにしています。
- 拡大読書器の設置: 図書館には、文字を拡大して表示できる拡大読書器が設置されており、視覚に障害がある方が利用しやすい環境を整えています。
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2. サピエ図書館の利用
- デジタル図書館サービス: サピエ図書館では、視覚障害者向けに音声や点字での図書の検索・ダウンロードが可能です。利用者は、パソコンやスマートフォンを通じて、30万タイトル以上の録音・点字・電子図書を利用できます。
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3. 地域連携の強化
- 読書バリアフリーコンソーシアムの設立: 文部科学省は、地域の図書館や関連団体が連携して、読書バリアフリーの取り組みを推進するためのコンソーシアムを設立しています。これにより、物的・人的資源を共有し、効率的にサービスを提供することを目指しています。
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4. 教育機関での取り組み
- 学校図書館でのアクセシブルな書籍の提供: 学校図書館でも、アクセシブルな書籍や教材の共有を進めており、特別支援教育を受ける生徒が利用できるように工夫されています。
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これらの施行例は、読書バリアフリー法が目指す「すべての人が読書を楽しめる社会」の実現に向けた具体的な取り組みを示しています。
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読書バリアフリー法は、視覚障害者を支援するために以下のような具体的な施策を実施しています。
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1. 読書環境の整備
- アクセシブルな書籍の提供: 法律に基づき、視覚障害者が利用できる形式の書籍(点字本、大活字本、音声化された本など)の提供が推進されています。これにより、視覚に障害がある方が自分に合った方法で読書を楽しむことができるようになります。
- 図書館での支援サービス: 公立図書館や点字図書館では、視覚障害者向けの特別なサービスが提供されています。例えば、朗読サービスや拡大読書器の貸出、デジタル図書の利用が可能です。
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2. サピエ図書館の活用
- デジタルリソースの提供: サピエ図書館は、視覚障害者向けに点字や音声データを提供するネットワークです。利用者は、点字データや音声デイジーデータを無料でダウンロードでき、幅広いタイトルにアクセスすることができます。
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3. 地方公共団体の計画策定
- 地域における支援の強化: 地方公共団体は、国の基本計画を基にして、地域特有の視覚障害者支援計画を策定することが求められています。これにより、地域ごとのニーズに応じた支援が行われるようになります。
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4. 教育機関での取り組み
- 学校図書館でのアクセシブルな教材の提供: 学校図書館でも、視覚障害者が利用できる教材や書籍の提供が進められています。これにより、教育の場でも障害の有無にかかわらず、すべての生徒が平等に学ぶことができる環境が整えられています。
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これらの施策を通じて、読書バリアフリー法は視覚障害者が読書を楽しむための環境を整備し、文字・活字文化の恩恵を受けられる社会の実現を目指しています。
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読書バリアフリー法の施行前と後での変化について、以下のようなポイントが挙げられます。
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1. 法律の制定と施行
- 施行前: 視覚障害者や読書に困難を抱える人々に対する支援は不十分であり、利用可能な書籍や資料も限られていました。特に、図書館でのサポートが不足しており、障害者がアクセスできる情報が限られていました。
- 施行後: 2019年6月に施行された読書バリアフリー法により、視覚障害者等の読書環境の整備が法的に義務付けられました。この法律は、障害の有無にかかわらずすべての人が読書を楽しむことができる環境を整えることを目的としています。
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2. 読書環境の整備
- 施行前: 読書に困難を抱える人々が利用できる書籍の種類や形式が限られており、特に音声化や点字化された資料は少なかった。
- 施行後: 法律に基づき、図書館や関連機関では、点字本や音声化された書籍の提供が増加しました。また、サピエ図書館などのデジタルリソースが利用可能になり、30万タイトル以上の録音・点字・電子図書が提供されています。
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3. 地方公共団体の役割
- 施行前: 地方公共団体による支援策は存在していましたが、体系的な計画が不足しており、地域ごとのニーズに応じた支援が行われていませんでした。
- 施行後: 地方公共団体は、国の基本計画を基にして独自の読書バリアフリー計画を策定することが求められています。これにより、地域特有のニーズに応じた支援が強化されることが期待されています。
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4. 認識の向上と啓発活動
- 施行前: 読書に困難を抱える人々に対する社会的な認識は低く、支援の必要性が広く理解されていませんでした。
- 施行後: 読書バリアフリー法の施行により、障害者の読書環境に対する関心が高まり、啓発活動が進められています。これにより、一般市民や関係者の理解が深まり、支援の輪が広がっています。
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これらの変化により、読書バリアフリー法は視覚障害者や読書に困難を抱える人々にとって、より良い読書環境を提供するための重要な基盤となっています。
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