「障害者」という言葉、あなたはどんなイメージを持ちますか? この言葉は、私たちの社会の中で、長い歴史と様々な変化を遂げてきました。今回は、障害のある人を正しく呼ぶための言葉の変遷について、一緒に紐解いていきましょう。
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なぜ「障がい」という言葉が生まれたの?
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昔は、「障害」という言葉が一般的でした。しかし、この言葉には「何か問題がある」というネガティブな印象が強く、障害のある人を差別的に捉えてしまう可能性がありました。そこで、より中立的で、障害のある人を尊重する言葉として「障がい」という言葉が生まれました。
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「障がい」という言葉が広まったのは、1980年代後半から1990年代にかけてです。1993年には「障害者基本法」が改正され、「障がい」という表現が正式に採用されました。これは、障害のある人への理解を深め、社会全体で平等な機会を与えるための大きな一歩でした。
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言葉の変遷をたどってみよう
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障害のある人を呼ぶ言葉は、時代とともに大きく変化してきました。
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- 古代・中世: 障害のある人は「異常」や「不完全」とされ、社会から隔離されることもありました。
- 近代: 医学の発展とともに、障害のある人も社会の一員として認識されるようになりましたが、「不具者」や「障碍者」など、差別的な言葉が使われていました。
- 戦後: 障害者の権利に関する考え方が広まり、「障害者」や「不自由者」といった言葉が一般的になりました。
- 1970年代~1980年代: 障害者解放運動が世界的に起こり、障害のある人々の権利に対する意識が高まりました。
- 1980年代後半~1990年代: 「障がい」という言葉が広まり、障害のある人をより尊重する社会へと変化していきました。
- 現在: 「障がい」や「障害」に加え、「障害を持つ人々」や「発達障害者」など、様々な表現が使われています。
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なぜ「障害」という言葉がまだ使われるの?
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「障がい」という言葉が一般的になりつつありますが、「障害」という言葉もまだ使われています。これは、以下の理由が考えられます。
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- 法律や公式文書: 法律や公式文書では、「障害」という言葉が定着しているため、変更が難しい場合があります。
- 過去の慣習: 長い間「障害」という言葉が使われてきたため、古い資料や慣習的に「障害」という言葉を使っている場合もあります。
- 言葉の選択の難しさ: どちらの言葉を使うべきか、場面によって迷うことがあります。
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障害のある人を呼ぶときに大切なこと
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障害のある人を呼ぶ言葉は、単なる言葉の選び方ではなく、その人への尊重の気持ちを表すものです。大切なのは、
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- 相手への理解: 障害の種類や程度は人それぞれです。一括りにせず、一人ひとりの個性や状況を理解することが大切です。
- 尊重の気持ち: 差別的な言葉を使わず、相手を尊重する言葉を選びましょう。
- 多様な表現: 「障がい者」だけでなく、「障害を持つ人々」や「発達障害者」など、様々な表現を使い分けることで、より適切なコミュニケーションができます。
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まとめ
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障害のある人を呼ぶ言葉は、社会の意識の変化を映し出す鏡のようなものです。言葉一つで、相手への印象は大きく変わります。より良い社会を作るためには、一人ひとりが言葉に気を配り、障害のある人を尊重する気持ちを大切にしていくことが重要です。
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【呼びかけ方に関するその他情報】
- ダイバーシティ: 多様性を認め、受け入れるという考え方です。障害のある人も社会の一員として、多様な才能を持つ存在として認められるべきです。
- インクルーシブ: 包括的なという意味で、障害のある人も含め、全ての人が参加できる社会を目指します。
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【呼びかけ方のポイント】
- 相手を主語にする: 「障害者」ではなく、「障害のある人」と表現することで、相手を主体として捉えることができます。
- 具体的に説明する: 「視覚障害者」や「聴覚障害者」など、具体的な障害の種類を伝えることで、より正確なコミュニケーションができます。
- 固定観念を捨てる: 障害のある人だからといって、特定のイメージを持たずに、一人ひとりの個性として捉えましょう。
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言葉の壁を乗り越え、誰もが安心して暮らせる社会を目指しましょう。