障害を理由に海を諦める必要はありません! 近年、ユニバーサルデザインを取り入れた「ユニバーサルビーチ」が増えており、誰もが海を楽しめるような取り組みが全国各地で行われています。
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ユニバーサルビーチとは?
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ユニバーサルビーチとは、障がいのある方、高齢者、小さなお子さん連れの方など、誰もが安全に快適に利用できるよう配慮されたビーチのことです。具体的には、以下のような特徴があります。
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- ビーチマットや通路の整備: 車椅子やベビーカーでも砂浜を移動しやすいように、ビーチマット(モビマットなど)が敷かれたり、舗装された通路が整備されています。
- 水陸両用車椅子の貸し出し: 砂浜や海中でも移動できる特殊な車椅子(ヒッポキャンプ、モビチェアなど)を無料で貸し出している場所が多くあります。
- バリアフリー施設: 多目的トイレや更衣室、駐車場などもバリアフリー化されていることがあります。
- サポート体制: ライフセーバーやボランティアがサポートしてくれるイベントが開催されることもあります。
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日本各地のユニバーサルビーチの例
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現在、NPO法人須磨ユニバーサルビーチプロジェクトを中心に、全国各地にユニバーサルビーチの取り組みが広がっています。主なユニバーサルビーチや関連プロジェクトをいくつかご紹介します。
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- 須磨海水浴場(兵庫県神戸市)
- 日本で初めてユニバーサルビーチの取り組みが始まった場所の一つで、ビーチマットや水陸両用車椅子の貸し出しなど、先進的な取り組みが行われています。
- NPO法人須磨ユニバーサルビーチプロジェクトが中心となって活動しており、全国のモデルとなっています。
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- 若狭和田ビーチ(福井県高浜町)
- アジアで初めて国際環境認証「ブルーフラッグ」を取得したビーチで、水陸両用車椅子の無料貸し出しも行っています。
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- 大洗サンビーチ海水浴場(茨城県大洗町)
- 日本初のユニバーサルビーチとして知られ、水陸両用車椅子の無料貸し出しや専用駐車場、更衣室などを完備しています。
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- 由比ヶ浜海水浴場(神奈川県鎌倉市)
- 若狭和田ビーチとともに、アジアで初めてブルーフラッグ認証を取得したビーチの一つです。
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- 豊崎美らSUNビーチ(沖縄県)
- 沖縄県内でもバリアフリーに配慮されたビーチとして知られています。
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- 南知多町の海水浴場(愛知県)
- 「南知多ユニバーサルビーチプロジェクト」が展開されており、ビーチマットの貸し出しなどを行っています。
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- 三宇田浜海水浴場(長崎県)
- バリアフリー駐車スペースや多目的トイレ、盲導犬の受け入れにも対応しています。
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利用する際のポイント
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- 事前に情報収集をする: 各ビーチで提供しているサービス(水陸両用車椅子の有無、貸し出し時間、予約の必要性など)は異なるため、事前に各ビーチの公式サイトや関連団体の情報を確認することをおすすめします。
- イベント情報を確認する: ユニバーサルビーチの取り組みは、特定の期間やイベントとして開催されることが多いです。イベント情報をチェックすると、より充実したサポートを受けられる可能性があります。
- 介助者の同行: 必要に応じて、介助者の方と一緒に行くことを検討しましょう。
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これらの情報が、あなたが海を楽しむためのお役に立てれば幸いです。ぜひ、諦めずに海への一歩を踏み出してください!
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海を安全に楽しむために、準備は非常に重要です。特に、障害をお持ちの方や、介助が必要な方が安心して海を楽しむためには、事前の情報収集と準備がカギとなります。以下に準備すべきことを詳しくまとめました。
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1. 情報収集と計画
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- ユニバーサルビーチの選定:
- 行きたいビーチがユニバーサルビーチかどうか、どのような設備(ビーチマット、水陸両用車椅子、バリアフリー更衣室・トイレなど)があるかを事前に確認します。
- 水陸両用車椅子の予約: 特に水陸両用車椅子は数に限りがある場合が多いので、必ず事前に予約が可能か、利用時間、料金(無料の場合が多い)、貸し出し場所などを確認し、必要であれば予約を入れましょう。
- アクセス方法: 駐車場からビーチまでの距離、公共交通機関の利用のしやすさ、駐車場のバリアフリー対応(車椅子マークの有無など)も確認します。
- 混雑状況の予測: 休日やイベント時は混雑が予想されます。可能であれば、比較的空いている時間帯や曜日を選ぶと、より快適に過ごせます。
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- 介助者の確保:
- 必要な介助のレベルに応じて、同行する介助者の人数やスキルを確認します。特に水中での介助や、移乗が必要な場合は、複数人での介助が必要になることもあります。
- 現地のボランティアやサポート体制があるかどうかも確認し、必要であれば利用を検討します。
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- 天候・海の状況確認:
- 当日の天気予報、波の高さ、潮の干満などを事前に確認します。風が強い日や波が高い日は、安全上の理由から利用を控える、あるいは水中での活動を控えるなどの判断が必要です。
- ビーチの公式サイトやSNSなどで、リアルタイムの情報が発信されている場合もあります。
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2. 持ち物リスト
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- 基本的な海水浴グッズ:
- 水着(脱ぎ着しやすいもの)
- タオル(速乾性のもの、大きめのもの)
- 日焼け止め(SPF値の高いもの、ウォータープルーフがおすすめ)
- 帽子、サングラス(日差し対策)
- レジャーシート、テント、パラソル(日陰の確保)
- 着替え(移動着も含む)
- 飲み物、軽食(熱中症対策)
- 救急箱(絆創膏、消毒液、常備薬など)
- ゴミ袋
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- 安全・快適グッズ(個々の状態に合わせて):
- ライフジャケット: 浮力が得られるため、水中での安全性が格段に高まります。ビーチによっては貸し出しがある場合もありますが、持参すると安心です。
- 防水ポーチ: 携帯電話、鍵、貴重品などを水から守ります。
- 水中メガネ、シュノーケル: 水中の景色を楽しみたい場合。
- ラッシュガード、マリンシューズ: 日焼け防止やケガ防止になります。特にマリンシューズは、ビーチの砂利や貝殻から足を守るのに役立ちます。
- 防水オムツやパッド: 必要な方。
- 普段使用している補助具の防水対策: 車椅子や杖など、水に濡れる可能性のある補助具は、防水カバーや代替品を検討します。
- 冷却グッズ: クーラーボックス、保冷剤、冷たいタオルなど、熱中症対策を万全に。
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3. 体調管理と体調確認
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- 前日の睡眠と食事: 十分な睡眠と栄養をとり、体調を整えておきましょう。
- 水分補給: 移動中やビーチでの活動中もこまめな水分補給を心がけましょう。
- 体調に合わせた行動: 無理は禁物です。少しでも体調に異変を感じたら、すぐに休憩を取り、必要であれば引き返しましょう。
- 持病やアレルギー情報の共有: 同行者や現地のスタッフに、持病やアレルギー、緊急時の対応について共有しておくと安心です。
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4. 現場での注意点
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- スタッフやボランティアとの連携: 現地のユニバーサルビーチのスタッフやボランティアがいる場合は、積極的にコミュニケーションをとり、必要なサポートをお願いしましょう。
- 周囲の状況確認: 常に周囲の状況に気を配り、他の利用者との距離を保ち、安全に配慮しましょう。
- 水分補給と休憩: 暑い日差しの中での活動は、体力を消耗します。定期的に日陰で休憩を取り、水分補給を怠らないようにしましょう。
- 熱中症対策: 暑さ指数(WBGT)が高い日は特に注意が必要です。無理のない範囲で活動し、涼しい場所での休憩をこまめにとりましょう。
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これらの準備をしっかりと行うことで、障害があっても安全に、そして心から海を楽しむことができるはずです。良い思い出を作ってください!
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車椅子の方でも楽しめるマリンアクティビティは、近年ますます多様化し、多くの場所で体験できるようになってきています。特に「ユニバーサルデザイン」や「バリアフリー」を意識した施設やプログラムが増えており、誰もが海を楽しめる環境が整いつつあります。
ここでは、車椅子の方におすすめのマリンアクティビティとそのポイントをご紹介します。
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1. スキューバダイビング
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車椅子の方にとって、水の中はまさに「無重力の世界」です。陸上での制約から解放され、自由に水中を移動できる感覚は、他に代えがたい感動をもたらします。
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- ポイント:
- 専門施設での体験: 奄美大島の「ゼログラヴィティ」など、車椅子ユーザー向けに特化した宿泊施設付きのマリンスポーツリゾートがあります。バリアフリー設計の船や、車椅子に乗ったまま海中に入れるエレベーターなど、設備が充実しています。
- インストラクターのサポート: 専門知識を持ったインストラクターが丁寧に指導し、水中での移動や器材操作をサポートしてくれます。
- 器材の工夫: ウェットスーツの形状やフィン、浮力調整具(BCD)など、個々の身体状況に合わせて調整可能な器材が用意されている場合があります。
- 体験ダイビングから: まずは体験ダイビングで、水中の感覚や、自分に合ったスタイルを見つけるのがおすすめです。
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2. シュノーケリング
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ダイビングよりも手軽に、水中の世界を楽しむことができます。
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- ポイント:
- 水陸両用車椅子: ユニバーサルビーチで貸し出されている水陸両用車椅子(ヒッポキャンプ、モビチェアなど)を利用すれば、介助があれば水際まで移動し、浅瀬でのシュノーケリングが可能です。
- ライフジャケットの着用: 浮力を確保し、安全に楽しむためにライフジャケットは必須です。
- 専門業者のツアー: バリアフリー対応のボートで沖合まで移動し、安定した状態でシュノーケリングができるツアーもあります。
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3. シーカヤック・バギーカヤック
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水上を移動する爽快感を味わえるアクティビティです。
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- ポイント:
- 安定性の高い艇: 安定性の高い「シットオントップカヤック」や、車椅子の方でも乗り降りしやすいように設計された「バギーカヤック」などがあります。
- 乗り降りのサポート: スロープや特殊な介助があれば、車椅子からカヤックへの移乗が可能です。
- タンデム(二人乗り): インストラクターや介助者と一緒に乗ることで、安心して楽しめます。
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4. クルージング・ホエールウォッチング
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海に入らずとも、船上から海の景色や生き物を楽しむことができます。
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- ポイント:
- バリアフリー船: スロープやエレベーター、車椅子対応トイレなどを備えたバリアフリーの船が増えています。船内が広く、車椅子での移動がしやすい設計のものがおすすめです。
- デッキからの眺め: 広々としたデッキから、風を感じながら海上の景色を満喫できます。
- ホエールウォッチング: 迫力満点のクジラを間近で見られるツアーは、感動的な体験となるでしょう。
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5. モーターパラグライダー
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空から海を見下ろす、非日常的な体験ができます。
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- ポイント:
- タンデムフライト: 操縦士と一緒に二人乗りでフライトするため、特別な操縦技術は不要です。
- 離着陸のサポート: 砂浜などの平地から離着陸できるタイプもあり、車椅子からハーネスへの移乗や、スタッフによるサポートがあれば体験可能です。
- 沖縄など: 沖縄など、このアクティビティを提供している場所があります。
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6. その他
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- SUP(スタンドアップパドルボード): 安定性の高いボードで、座って楽しむことも可能です。ユニバーサルSUP体験を提供している場所もあります。
- 釣り: バリアフリー対応の釣り桟橋や、車椅子対応の船での釣り体験も増えています。
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アクティビティを選ぶ際の注意点
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- 事前の情報収集と予約: 各施設のウェブサイトや問い合わせ窓口で、バリアフリー設備、介助体制、水陸両用車椅子の有無、予約の必要性などを必ず確認しましょう。
- 体調との相談: 自分の体調や身体能力に合わせて、無理のないアクティビティを選びましょう。
- 介助者の確保: 必要であれば、介助者の方の同行をお願いしましょう。
- イベント情報の確認: ユニバーサルビーチや関連団体が開催するイベントでは、特別なサポート体制が用意されている場合があります。
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これらのアクティビティを通じて、車椅子の方も海の魅力を存分に楽しめるはずです。ぜひ、自分に合ったマリンアクティビティを見つけて、素晴らしい海の思い出を作ってください。