障害のある方が自動車を運転する際に、その方の身体状況に合わせて様々な改造が行われます。主な改造の種類は以下の通りです。
1. 運転補助装置(運転操作の補助)
- 手動運転装置: 下肢が不自由な方が、手だけでアクセルやブレーキの操作ができるようにする装置です。レバーを引いてアクセル、押してブレーキをかけるタイプや、ステアリングにリングを装着し、それを引くことでアクセル、押すことでブレーキをかけるタイプなどがあります。
- 左足アクセル: 右足が不自由な方が、左足でアクセル操作ができるようにする装置です。元のアクセルペダルに被せて使用するタイプや、完全に左側に新たなアクセルペダルを設けるタイプなどがあります。
- ペダル延長加工: 身長が低く、ペダルに足が届きにくい方のために、ペダルを延長する加工です。
- 旋回ノブ/ハンドル旋回ノブ: 片手でハンドル操作を行う必要がある場合に、ハンドルの上部に取り付けるノブです。少ない力でハンドルを回せるようになります。
- ウィンカー・ワイパーレバー延長: 片手で運転する場合などに、手の届きにくいウィンカーやワイパーのレバーを延長し、操作しやすくする改造です。
- スタータースイッチの改造: キーレスエントリーやボタン式のエンジンスターター、スマートエントリーなど、鍵の操作が困難な方向けに、操作しやすいように補助具を付ける改造です。
2. 乗降補助装置(乗り降りの補助)
- 回転シート/回転昇降シート: 座面が回転したり、回転しながら昇降したりすることで、車いすからの移乗や、座面の高い車への乗り降りを楽にするシートです。
- 車いす用昇降リフト: 車いすに乗ったまま車内に乗り込めるように、車両後部などに設置されるリフトです。電動車いすなど、重量のある車いすの場合に特に便利です。
- 車いすスロープ: 折りたたみ式のスロープを設置し、車いすのまま車に乗り降りできるようにする改造です。脱着式で、使わないときは取り外せるタイプもあります。
- 車いす収納装置: 車いすを自動で車内に収納してくれる装置です。トランクや後部座席ドア側など、様々な位置に設置可能です。
- サイドサポートシート: 車いすから運転席への移乗の際に、隙間を埋めたり、体を支えたりするシートです。
- 電動ステップ: 車のドアを開けた際に自動で出てくるステップで、乗り降りの際の段差を軽減します。
3. その他
- 車いす固定装置: 車いすを車内に固定するための装置です。手動式や電動式があります。
- 痙攣止めプレート/跳ね上げ式アクセル・ブレーキ: 足に不随意運動がある方など、誤ってペダルを踏んでしまうことを防ぐためのプレートや、アクセルペダルを跳ね上げることで、不要な操作を防ぐ装置です。
これらの改造は、個々の障害の部位や程度、使用する車の種類によって最適なものが異なります。自動車メーカーの福祉車両専門部門や、福祉車両改造専門メーカーが、ユーザーの状況に合わせてカスタマイズを行っています。
また、これらの改造費用に対して、各自治体で助成金制度が設けられている場合があります。申請には改造前の申請が原則となることが多いので、事前に自治体の障害福祉課などに問い合わせることが重要です。
・
改造された福祉車両は、障害のある方や高齢者が安全かつ快適に移動できるよう、様々なニーズに合わせてカスタマイズされています。大きく分けて「介護式(介助者がサポート)」と「自操式(本人が運転)」の2つのタイプがあり、それぞれに多様な種類と特徴があります。
1. 介護式福祉車両(介助者がサポート)
主に、車いすの方や乗り降りに介助が必要な方をサポートするための車両です。
主な種類と特徴:
- スロープ式車両:
- 特徴: 車両の後部や側面から折りたたみ式のスロープを展開し、車いすのまま乗り降りできます。比較的軽量な車いすや、介助者がいる場合に便利です。
- 利点: リフト式に比べて構造がシンプルで、車両価格や改造費用が抑えられる傾向にあります。スロープの角度が緩やかなタイプも多く、介助者の負担を軽減します。
- 車種例: ミニバン(トヨタ シエンタ、ホンダ ステップワゴンなど)や軽自動車(ホンダ N-BOXなど)に多く見られます。
- リフト式車両:
- 特徴: 車両の後部または側面に電動または油圧式の昇降リフトを装備しており、車いすに乗ったままスムーズに乗り降りできます。
- 利点: 電動車いすなど重量のある車いすでも安全に乗り降りが可能で、介助者の身体的な負担を大幅に軽減します。
- 車種例: ワンボックスカー(トヨタ ハイエース、日産 キャラバンなど)や大型ミニバンに多く、介護施設や病院の送迎車両としても広く利用されています。リフトには、プラットフォームが車内に格納されるタイプや、外部に露出するタイプなどがあります。
- 回転シート/回転昇降シート車:
- 特徴: 助手席や2列目シートが電動で回転し、さらに車外へスライドしながら昇降する機能を備えています。
- 利点: 車いすから車のシートへの移乗をサポートしたり、足腰が弱くなってきた方が楽に乗り降りできるようにします。車いすを乗り入れないため、座り心地は通常の車のシートと同等です。
- 車種例: 軽自動車からセダン、ミニバンまで幅広い車種で設定があり、後付け改造も可能です。
- 送迎仕様車(電動ステップなど):
- 特徴: 介護施設などの送迎に特化した車両で、乗り降りを補助する電動ステップや、車内で身体を支えるための手すり・グリップなどが装備されています。
- 利点: 複数の利用者のスムーズな乗り降りをサポートし、介助者の負担を軽減します。
- 車種例: ハイエースやキャラバンなどの商用バンをベースにした車両が多いです。
2. 自操式福祉車両(本人が運転)
障害のある方がご自身で運転するために、運転操作を補助する装置が取り付けられた車両です。
主な種類と特徴:
- 手動運転装置:
- 特徴: 足が不自由な方が、手だけでアクセルやブレーキの操作ができるようにする装置です。レバーを押し引きするタイプや、ハンドルにリングを装着して操作するタイプなどがあります。
- 利点: 下肢に障害がある方が、上肢の能力を使って運転を継続できるようになります。
- 車種例: ほぼ全ての車種に後付け改造が可能で、コンパクトカーからスポーツカーまで、幅広い車種で改造事例があります。
- 左足アクセル:
- 特徴: 右足の操作が困難な方のために、左足でアクセル操作ができるようにする装置です。元のアクセルペダルにカバーをかけて無効化し、左側に新たなペダルを設置するタイプが一般的です。
- 利点: 右足の機能に制限がある方が、安全に運転できるようになります。
- 車種例: 一般的なAT車であればほとんどの車種で改造可能です。
- 旋回ノブ/ハンドル旋回ノブ:
- 特徴: 片手でハンドル操作を行う場合に、ハンドルの上部に取り付けるノブです。少ない力でハンドルを回せるようになります。
- 利点: 片麻痺の方や、片手で手動運転装置を操作する方などが、スムーズなハンドル操作を可能にします。
- その他運転補助装置:
- ペダル延長加工: 身長が低く、ペダルに足が届きにくい方のために、ペダルを延長する加工。
- ウィンカー・ワイパーレバー延長: 片手運転時に操作しやすいように、レバーを延長する改造。
- スタータースイッチの改造: キーの操作が困難な方向けに、操作しやすいように補助具を取り付ける改造。
改造福祉車両の全般的な特徴
- オーダーメイド性: 障害の種類、程度、身体能力、使用目的、家族構成、予算など、個々のニーズに合わせて最適な改造が行われます。既存の車両を改造することも多いため、メーカー純正の福祉車両では対応できない細かなニーズにも応えられます。
- 幅広い車種への対応: 軽自動車、コンパクトカー、セダン、ミニバン、SUV、輸入車など、様々な車種をベースに改造が可能です。
- 多様な専門メーカー: 自動車メーカーの福祉車両専門部門(トヨタのウェルキャブなど)だけでなく、ミクニ ライフ&オート、フジオート、ヒカル自動車工業、福祉車両ヤマシタオートなど、多様な福祉車両改造専門メーカーが存在し、それぞれの得意分野や技術を持っています。
- 助成金制度: 多くの自治体で、福祉車両の購入や改造費用に対して助成金制度が設けられています。これにより、費用負担を軽減することができます。
- 中古市場: 改造された福祉車両は、新車だけでなく中古車市場にも多く流通しており、予算やニーズに合わせて選択肢が広がります。
このように、改造された福祉車両は、障害のある方やそのご家族のライフスタイルを豊かにするための重要なツールとなっています。