障害者雇用の面接においても、基本的にはスーツの着用が推奨されます。一般企業と同様に、清潔感があり、きちんとした印象を与えることが重要だからです。
ただし、障害の特性上、スーツの着用が難しい場合もあるかと思います。その場合は、無理にスーツを着る必要はありません。大切なのは清潔感のある身だしなみです。
面接での服装について
- 基本はスーツ:
紺やグレーなどのダーク系のスーツが一般的です。シャツは白や淡い色でシワがないようにアイロンをかけ、靴もきれいに磨いておきましょう。 - 清潔感を意識する:
スーツ以外でも、だらしない印象を与えないよう、シワやシミがないか、香水などの香りが強すぎないかなど、細部まで確認しましょう。 - 障害の特性を考慮する:
- 身体的な理由でスーツの着用が難しい場合は、ビジネスシーンに合った、落ち着いたデザインのジャケットやインナーを選ぶのが良いでしょう。Tシャツやスニーカーなど、あまりにもカジュアルな服装は避けるのが無難です。
- 面接先に事前に、障害の特性上、服装に配慮が必要であることを伝えておくと、よりスムーズな対応が期待できる場合があります。
「障害者用スーツ」について
「障害者用スーツ」という特別なカテゴリーのスーツが大量に市販されているわけではありませんが、障害の特性に合わせて調整されたスーツや、オーダーメイドで作成できるサービスは存在します。
例えば、以下のようなニーズに対応したスーツがあります。
- 車椅子ユーザー向け:
- 座ったときにしわになりにくい、ゆとりを持たせた肩回りや、縫い込みが施されたパンツなど、座位での快適さや見た目の美しさを考慮した作りになっています。
- ジャケットの丈を短めにしたり、ウエストにゴムを使用したり、着脱しやすさを考慮した工夫が施されることもあります。
- その他:
- 身体の左右差に対応したり、特定の部位にゆとりを持たせるなど、個々の身体の状況に合わせて調整できるオーダーメイドのサービスがあります。
- 素材も、ストレッチ性の高いものや、肌触りの良いものを選ぶことで、着用時のストレスを軽減できます。
もし、一般的なスーツでは身体に合わない、または着心地が悪いといった場合は、以下のような方法を検討してみると良いでしょう。
- オーダーメイドスーツの専門店:
障害のある方や車椅子ユーザー向けのオーダーメイドスーツを扱っている店舗があります。実際に身体を採寸してもらい、個々のニーズに合わせたスーツを作成できます。 - 既存のスーツを補正する:
一般的なスーツを購入した後、お直し屋さんなどで身体に合わせて補正してもらう方法もあります。
いずれにしても、面接で一番大切なのは、面接官に「一緒に働きたい」と思ってもらえるような、前向きな姿勢とコミュニケーションです。服装はあくまでその第一印象を形成する要素の一つとして捉え、ご自身の状況に合った最善の選択をしてください。
「障害者用スーツ」という言葉は、特定のブランドや商品カテゴリーとして確立されているわけではありませんが、障害の特性に配慮した機能性やデザインを持つスーツ、あるいはオーダーメイドで調整可能なスーツを指すことが多いです。
具体的にどのような点が考慮されるか、もう少し詳しく見ていきましょう。
1. 車椅子ユーザー向けスーツ
車椅子ユーザーの場合、着座姿勢が基本となるため、一般的なスーツでは様々な不具合が生じることがあります。そのため、以下のような工夫が凝らされています。
- 座ったときのシルエットの美しさ
- ジャケットの丈と前丈の調整:
座ったときに前裾がもたつかないよう、着丈を短くしたり、前丈をさらに短くしたりします。 - 肩周りのゆとり:
車椅子を操作する際に腕を動かしやすいよう、肩周りや袖付け部分にゆとりを持たせます。 - 襟元のダブつき軽減:
襟から胸元にかけてのパターンを見直し、座ったときに襟元が浮いたりダブついたりするのを抑えます。
- ジャケットの丈と前丈の調整:
- パンツの工夫
- 膝裏の縫い込み:
座ったときに膝裏にシワやダブつきが出やすいのを抑えるため、縫い込み(ダーツ)を入れることがあります。 - ウエスト部分の調整:
座ったときの腹部の圧迫感を軽減するため、ウエストにゴムを使用したり、ゆとりを持たせたりします。 - 着脱のしやすさ:
脇縫い目を大きく開けてファスナーで開閉できるようにしたり、裾にもファスナーを付けたりして、着脱を容易にする工夫が施されることがあります。
- 膝裏の縫い込み:
- 耐久性の向上
- 袖の補強: 車椅子を操作する際に袖が擦れることが多いため、袖の内側や肘部分を補強し、生地の傷みを防ぎます。
- その他
- ボタンの工夫: 片手でも留めやすい「メオトボタン」のような、着脱を容易にするボタンが採用されることもあります。
- 生地の選択: ストレッチ性のある生地や、シワになりにくい素材を選ぶことで、着用時の快適さやメンテナンスのしやすさを向上させます。
2. その他の身体的特性に配慮したスーツ
車椅子ユーザー以外にも、個々の身体の状況に合わせて以下のような調整が可能です。
- 左右差のある体型への対応:
身体の左右のバランスが異なる場合でも、それぞれの体型に合わせて採寸し、バランスの取れたスーツを作成できます。 - 特定の部位のゆとり:
装具を着用している場合や、特定の部位にゆとりが必要な場合に、その部分に合わせた調整を行います。 - 着脱の容易さ:
ボタンの代わりにマグネットボタンや面ファスナーを使用したり、ファスナーの位置を工夫したりすることで、着脱にかかる労力を軽減します。
どこで手に入る?
「障害者用スーツ」という既製品の大量生産はまだ一般的ではありませんが、以下の方法で入手できます。
- オーダーメイドスーツ専門店:
- 多くのオーダーメイドスーツ店では、個々の身体の採寸に基づき、細かな調整が可能です。
- 中には、「車椅子ユーザー向けオーダースーツ」など、特定のニーズに特化したサービスを提供している店舗もあります。専門知識を持ったスタッフが採寸し、座位でのフィット感や機能性を考慮した提案をしてくれます。
- 例として「HANABISHI(花菱縫製)」や「お誂え洋服たなか」、「ひらつか」などは、車椅子ユーザー向けのオーダースーツに力を入れているようです。
- インクルーシブファッションブランド:
- 近年、「インクルーシブファッション」という考え方が広まっており、障害の有無にかかわらず、誰もがおしゃれを楽しめるようなデザインや機能性を取り入れたブランドも登場しています。
- スーツに特化しているわけではありませんが、ジャケットやパンツなど、ビジネスシーンでも着用できるアイテムを展開しているところもあります。「OHK」や「SOLIT!」などがこれに該当します。
- 既存のスーツの補正:
- 一般的な既製スーツを購入し、洋服のお直し専門店で身体に合わせて補正してもらう方法です。ただし、大幅なシルエットの変更は難しい場合もあります。
費用について
オーダーメイドスーツの場合、一般的な既製スーツよりも費用は高くなる傾向にあります。生地やデザイン、カスタマイズの内容によって異なりますが、数万円から数十万円程度が目安となります。
まとめ
障害者雇用の面接でスーツを着用する際、もし身体的な理由で既製スーツの着用が難しい場合は、無理をする必要はありません。しかし、清潔感を保ち、ビジネスシーンにふさわしい服装を選ぶことは非常に重要です。
もし可能であれば、ご自身の特性に合わせたオーダーメイドスーツを検討したり、機能性を重視したインクルーシブファッションブランドのアイテムを試したりするのも良い選択肢です。事前に面接先に服装について相談することも、不安を解消し、よりスムーズな面接につながる可能性があります。