飛行機や空港では、障害当事者が安全かつ快適に利用できるよう、さまざまなサポートが整備されています。ここでは、主な対応内容をご紹介します。
1. 予約時のサポートリクエスト
多くの航空会社では、事前に障害当事者が必要とするサポートを予約時にリクエストできます。車椅子のサポート、座席の指定、医療機器持ち込みなどの要望を事前に伝えることで、スムーズな対応が可能になります。
2. 空港内のサポート
車椅子貸し出し・移動支援: 空港では車椅子を貸し出しており、チェックインから搭乗口まで移動を手助けしてくれるスタッフがいます。
優先レーン: チェックインやセキュリティチェックにおいて、障害当事者が利用できる優先レーンを設置している空港も多く、待ち時間を短縮できます。
視覚・聴覚障害者向けの案内: 点字表記や音声ガイドシステム、スクリーンの案内などが提供されている空港もあり、視覚・聴覚に配慮したサービスを利用できます。
3. 搭乗と機内でのサポート
優先搭乗: 障害当事者は、他の乗客より早めに搭乗でき、機内での準備や座席への移動がしやすくなります。
座席や安全対応: 足元が広い座席やトイレに近い場所など、移動しやすい席が割り当てられる場合もあり、緊急時に安全確保のためのサポートも受けられます。
機内アシスト: 食事の介助、トイレの同行など、クルーによるサポートが可能で、特にリクエストされた場合、適切なサポートが提供されます。
4. 精神的なサポート
自閉症スペクトラムなどの発達障害がある方には、搭乗前の体験プログラムや、搭乗時にリラックスできるスペースが提供されることもあります。また、不安の軽減や飛行機の環境になれるためのサポートを事前に受けられる場合もあります。
5. 降機・到着時のサポート
到着後も、空港職員による荷物受け取りの手伝いや、必要な場合には車椅子や付き添いを確保して、空港外まで安全に移動できるようサポートされます。
こうした対応が整えられていることで、障害当事者が安心して旅行を楽しむことができる環境が提供されています。
車椅子利用者へのサポート
車椅子利用者には、空港や航空会社がさまざまなサポートを提供しています。以下がその内容です。
1. 空港でのサポート
チェックインから搭乗ゲートまでのサポート: 車椅子利用者は、チェックイン時から搭乗ゲートまでスタッフのサポートを受けられます。空港によっては、車椅子の事前予約も可能です。
優先レーン利用: セキュリティチェックや出国審査で優先レーンが提供され、スムーズな移動が可能です。
車椅子専用トイレ: 空港内には車椅子専用のバリアフリートイレが設置されています。また、多目的トイレも利用できる場所が多く、介助者が入れるスペースもあります。
2. 搭乗時のサポート
優先搭乗: 車椅子利用者は優先的に搭乗でき、座席への移動に必要な時間とサポートが確保されます。必要に応じて、スタッフが搭乗口から機内の座席までの移動を手伝ってくれます。
専用のリフトや搭乗用の車椅子: 航空会社によっては、機内通路が狭いために使用する専用の「オンボード車椅子」や、飛行機の入り口と座席までをサポートするためのリフトなどが提供されています。
3. 機内でのサポート
オンボード車椅子の提供: 一部の航空会社では、機内で利用できる専用の小型車椅子を備え、必要な時に提供しています。これにより、トイレなどへの移動がしやすくなります。
機内でのサポート: 座席の調整や、ベルトの着脱などの必要なサポートも、客室乗務員が手伝ってくれます。
4. 到着時のサポート
降機サポート: 飛行機が到着すると、降機をサポートするスタッフが待機しています。専用のリフトや車椅子が準備されており、安全に降りられるよう配慮されています。
荷物受け取り・出口までのアシスト: 空港の出口や預け荷物の受け取り場所まで、必要に応じてサポートが提供されます。また、事前に依頼しておけば、車両への乗車や、空港外までの移動支援も受けられる場合があります。
キャビンアテンダントの障害当事者対応研修
キャビンアテンダント(CA)は障害当事者に対応するための研修を受けています。航空会社では、安全性と快適さを確保するために、CAに対して特別な研修プログラムが提供されています。以下の内容が一般的な研修項目です。
1. 障害当事者対応の基礎知識
種類と特徴: 視覚、聴覚、身体、発達障害など、さまざまな障害の特性やニーズについて学びます。各障害に応じてどのようなサポートが求められるかを理解することで、適切に対応できるようになります。
2. コミュニケーション方法
視覚障害者へのアシスト: 視覚障害者の方には、口頭で状況を説明し、必要に応じて手を取って案内する方法が教えられます。
聴覚障害者へのサポート: 手話や筆談を用いた対応方法や、機内での緊急案内の伝達における工夫など、聴覚障害者の方に対する適切なコミュニケーションスキルも学びます。
3. 車椅子ユーザーへの対応
移動のサポート: 搭乗時や降機時に、車椅子利用者が安全かつスムーズに移動できるような介助の仕方を学びます。専用の機内車椅子の使い方や、座席への移乗を補助するための手順も含まれます。
緊急時の対応: 緊急事態が発生した際に、車椅子利用者や身体障害者を安全に避難させるための具体的な方法についても訓練を受けます。
4. 医療器具・補助具の取り扱い
酸素マスク、酸素ボトルの提供や補助具の安全な収納方法についても指導され、医療機器や補助器具が安全に使用できるよう管理する方法を学びます。
5. 発達障害のある方への対応
環境配慮: 自閉症スペクトラムなど、発達障害がある方への配慮として、可能な限り安心して利用できる環境作りの手法も学びます。また、搭乗や機内環境に不安を感じやすい場合の落ち着かせ方や配慮の仕方についても訓練を受けます。
6. 緊急時の対応方法
障害のある方が安心して避難できるよう、緊急時に必要なサポートやコミュニケーション方法についても訓練が行われています。
成田空港と関西空港の障害当事者向け設備
成田空港と関西空港では、障害当事者が利用しやすい環境を整えるための設備やサービスが充実しています。以下がそれぞれの空港における主な障害当事者対応設備です。
成田空港の障害当事者向け設備
1. 車いす貸し出し・移動支援
無料の車いす貸し出しサービスがあり、空港内での移動をサポートするスタッフがいます。事前予約をすればスムーズに対応が可能です。
2. バリアフリー化されたトイレ
各ターミナルにバリアフリートイレが配置されており、手すりや広めのスペースが設置されています。オストメイト対応トイレや多目的トイレもあるため、さまざまな障害に対応しています。
3. 優先レーン
障害当事者とその同行者は、保安検査や出入国審査で優先レーンを利用でき、移動がスムーズです。
4. 視覚障害者対応
点字案内や触知案内がターミナル内に設置され、誘導ブロックも整備されています。また、音声案内システムや誘導スタッフの対応もリクエストできます。
5. 聴覚障害者対応
各カウンターで筆談対応や音声サポートのリクエストが可能です。また、案内モニターには視覚的にわかりやすい情報が表示され、聞き取りに不安のある方でもスムーズに利用できます。
6. 多目的ルーム
家族や介助者と利用できる多目的ルームがあり、休憩や医療サポートが必要な場合に利用できます。
関西空港の障害当事者向け設備
1. 車いす利用者向けサポート
無料の車いす貸し出しがあり、空港職員がチェックインから搭乗ゲートまでの移動をサポートします。車いすは事前予約を推奨しています。
2. 多機能トイレ
各フロアに車いす対応のバリアフリートイレやオストメイト対応のトイレ、多目的トイレが設置されています。特に広いスペースと介助用設備が整っているため、安心して利用できます。
3. 優先レーン
保安検査や入出国審査では、障害当事者と同行者が優先レーンを利用できるため、混雑を避けた移動が可能です。
4. 視覚・聴覚障害者対応
視覚障害者向けに誘導ブロックや点字案内が整備されており、スタッフが付添をサポートすることも可能です。また、聴覚障害者向けには案内モニターや筆談対応が提供されています。
5. バリアフリー駐車場
車いすユーザー用の専用駐車スペースがあり、ターミナルに近い位置に配置されています。ターミナルまでのアクセスもバリアフリー対応されています。
6. 多目的室・ケアルーム
介護が必要な方が休憩できる多目的室が設置されており、医療機器や付き添いが必要な方も安心して利用できるようになっています。
どちらの空港も、事前に問い合わせや予約を行うことで、さらにスムーズに利用することができます。