一概に「大施設ほど障害者に冷たい」とは言えませんが、大型施設ならではの課題が障害者にとって不便に感じる状況を生む可能性がある、というのが実情に近いでしょう。
考えられる要因としては、以下のような点が挙げられます。
利用者の多さによる混雑
大型施設、特に駅や商業施設などでは、利用者が非常に多いためエレベーターが混雑しがちです。車いす利用者やベビーカー利用者、妊婦などが、混雑のためにエレベーターに乗れず、長時間待たされるという問題が指摘されています。
移動距離の長さと経路の複雑さ
大型施設では、エレベーターが設置されていても、目的地までの移動距離が長かったり、経路が複雑で分かりにくかったりすることがあります。特に初めての場所では、エレベーターの場所を探すのに時間がかかったり、遠回りを強いられたりして、不便に感じることがあります。
専用エレベーターの不足
一部の施設では車いすやベビーカー利用者、妊婦など向けに「専用」エレベーターの導入が進んでいますが、まだすべての大型施設に普及しているわけではありません。専用エレベーターがない場合、一般のエレベーターの混雑に巻き込まれ、利用が困難になることがあります。
設備基準と実際の使いやすさ
日本のバリアフリー法や条例では、エレベーターの出入り口の幅や奥行き、かごの広さ、操作盤の位置などについて一定の基準が設けられています。これにより、基本的な車いすでの利用は可能になっています。しかし、これらの基準を満たしていても、混雑時や他の利用者の状況によっては、必ずしも快適に利用できるとは限らないのが現実です。例えば、車いすの転回スペースが確保されていても、荷物や人でいっぱいのかごの中では身動きが取りにくいといった状況も発生します。
緊急時やイレギュラーな対応への課題
交通機関などでダイヤの乱れや運行情報の変更があった際など、イレギュラーな状況が発生した場合、障害者の方が臨機応変に対応することが難しい場合があります。エレベーターの場所が変わったり、代替ルートが必要になったりした際に、適切な情報提供やサポートが不足していると感じることもあります。
このように、大型施設のエレベーター利用における「冷たさ」は、必ずしも悪意によるものではなく、施設の規模や利用者の多さに起因する混雑や、それに伴う設備の不足、運用上の課題などが複合的に絡み合って生じる不便さと理解すると良いでしょう。
バリアフリー化は進められていますが、ハード面だけでなく、利用者の意識や運用の改善、きめ細やかなサポートなども含めた「心のバリアフリー」がより一層求められています。
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社会的な認識を変えるためには、多角的なアプローチが必要です。以下に主な取り組みを挙げます。
1. 教育と啓発活動の強化
- 幼少期からの教育: 幼い頃から多様な人々がいること、それぞれの違いを理解し尊重することの重要性を教えることで、偏見のない心を育みます。障害者理解に関する絵本や教材の導入、体験学習の機会を増やすことが有効です。
- 学校教育でのバリアフリー教育: 障害のある児童・生徒との交流機会を設けたり、車いす体験やアイマスク体験などのワークショップを取り入れたりすることで、障害当事者の視点から課題を理解する機会を提供します。
- メディアを通じた啓発: テレビ、インターネット、SNSなどを活用し、障害のある人々のリアルな生活や能力、社会参加の様子を発信する。感動ポルノではない、等身大の姿を伝えることで、誤解や偏見を解消し、共感を生み出します。
- 企業・団体での研修: 企業や公共機関において、障害者差別解消法に関する研修や、ユニバーサルデザイン、合理的配慮に関する実践的な研修を義務化・推進し、従業員の意識向上を図ります。
2. 障害当事者の声の可視化と社会参加の促進
- 当事者発信の場を増やす: 障害のある人々自身が、自身の経験や意見、ニーズを発信する機会を増やす。講演会、ワークショップ、SNS、ブログなどを通じて、社会に直接語りかける場を設けます。
- 政策決定過程への参画: バリアフリー化や福祉政策の策定段階において、障害当事者の意見を積極的に取り入れる仕組みを強化する。当事者の視点を取り入れることで、より実効性のある施策が生まれます。
- 多様な分野での活躍推進: 芸術、スポーツ、ビジネス、研究など、様々な分野で障害のある人々が活躍できる機会を創出・支援する。ロールモデルとなる存在が増えることで、社会全体の意識変革を促します。
3. 法制度とインフラの整備
- 障害者差別解消法の周知徹底と実効性の確保: 合理的配慮の提供が義務付けられていることを広く周知し、企業や団体が適切に対応できるよう支援する。また、差別が生じた際の相談体制や救済措置を強化します。
- ユニバーサルデザインの推進: 建築物や公共交通機関、製品、サービスなど、あらゆるものが最初から誰もが使いやすいユニバーサルデザインで設計されるよう、基準の強化やインセンティブ制度を導入します。
- 情報アクセシビリティの向上: ウェブサイトやデジタルコンテンツ、公共の案内表示など、情報へのアクセスが困難な人々のための配慮を徹底する。音声読み上げ、点字、手話通訳などの提供を拡大します。
4. 地域コミュニティでの交流促進
- 地域活動への参加促進: 障害のある人が地域のイベントやボランティア活動に積極的に参加できるような機会を増やし、地域住民との自然な交流を促します。
- 共生社会に向けた地域づくり: 地域住民が障害について学び、支え合う意識を育むためのワークショップや交流会を定期的に開催する。
これらの取り組みを複合的に進めることで、障害のある人々が社会の一員として尊重され、誰もが暮らしやすい共生社会の実現に向けた社会的な認識の変革が期待されます。
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現在の情報では、特定のある施設が特に冷遇されていると断定することは困難です。ただし、一般的に障害者の方々から不便さや配慮の不足が指摘されやすい施設の種類や状況は存在します。
1. 歴史的建造物や古い構造の施設
- 理由: バリアフリー化が義務付けられる以前に建設されたため、物理的な障壁が多い(階段が多い、エレベーターがない、出入口が狭い、多目的トイレがないなど)。改修が困難な場合も多いため、現状維持せざるを得ないケースがあります。
- 例: 古い寺社仏閣、一部の小規模な博物館や美術館、地方の古い公共施設など。
2. 小規模な店舗や飲食店
- 理由: スペースが限られているため、車いすでの移動が困難だったり、多目的トイレの設置が難しかったりします。また、従業員数が少ない場合、障害に対する専門的な知識や対応経験が不足していることがあります。
- 例: 昔ながらの商店街の店舗、個人経営のカフェやレストランなど。
3. イベント会場や一時的な施設
- 理由: 常設ではないため、バリアフリー対応が後回しにされたり、仮設の設備が不十分であったりする場合があります。案内表示が不十分で、障害者向けの動線が確保されていないこともあります。
- 例: 仮設のイベントスペース、屋外で開催される祭りやフェス会場、選挙の投票所など。
4. 混雑が常態化している公共交通機関やターミナル駅
- 理由: エレベーターや多目的トイレの設置は進んでいますが、利用者の多さから混雑が激しく、車いす利用者などが乗降しづらい、長時間待たされるといった状況が生じやすいです。駅員によるサポートが行き届かない場合もあります。
- 例: 主要都市のラッシュ時の電車、新幹線や航空機の乗り換えが集中するターミナル駅など。
5. 情報保障が不十分な施設やサービス
- 理由: 聴覚障害者向けの手話通訳や筆談対応、視覚障害者向けの音声案内や点字表示、知的障害者向けの分かりやすい情報提供などが不足していると、サービスを利用しづらくなります。
- 例: 一部の医療機関(医師とのコミュニケーション)、行政の窓口(複雑な手続きの説明)、イベントの案内表示など。
補足:重要な視点
- 「冷遇」は意図的なものとは限らない: 多くの場合、悪意を持って冷遇しているわけではなく、単純に「知識の不足」「経験の不足」「物理的な制約」「予算の制約」「意識の欠如」などが原因となっています。
- 個別の経験による差: 同じ施設でも、対応したスタッフの意識や個人の状況によって感じ方が大きく異なることがあります。
- 改善の努力: 上記のような施設でも、バリアフリー化やスタッフ研修など、改善に向けた努力をしているところも多くあります。
最終的には、障害者の方々一人ひとりのニーズや状況は多様であるため、どのような施設でも改善の余地があると言えるでしょう。