手話の合唱団ってどんな歌を披露するの? 全国でやっているの?

手話合唱団が披露する歌は多岐にわたります。

披露する歌の種類

  • J-POPなどのヒット曲: 聴覚に障害のある人も楽しめるように、歌詞の意味を深く掘り下げ、手話で表現する工夫が凝らされています。例えば、秦基博の「ひまわりの約束」や菅田将暉の「虹」、嵐の「Happiness」などが手話歌として披露されることがあります。
  • 童謡や愛唱歌: 懐かしい歌やみんなで歌える歌も多く選ばれます。
  • クラシック曲: ベートーベンの「第九」のような壮大な楽曲を手話で表現する団体もあります。これは、音だけでなく、手話の動きや表情で音楽の幅を広げる試みです。
  • オリジナル手話歌: 歌詞の世界を子どもたち自身が解釈し、手話をベースにしたオリジナルの手歌を創作することもあります。これは、当事者である子どもたちの表現を大切にする活動の一環です。

全国での活動状況

手話合唱団は全国各地で活動しています。特に有名なのが「ホワイトハンドコーラスNIPPON」です。

  • ホワイトハンドコーラスNIPPON: 聴覚に障害のある子どもだけでなく、視覚や知的障害のある子ども、そして障害のない子どもたちも一緒に音楽を楽しみ、パフォーマンスを創り出すインクルーシブな合唱団です。現在、東京、京都、沖縄に拠点を置いており、全国で約100人の参加者がいます。国内外での公演も積極的に行い、多様性と共生社会のメッセージを発信しています

その他にも、地域ごとに手話サークルや手話コーラス団体が存在し、様々なイベントや福祉施設などで手話歌を披露しています。

手話合唱団は、耳が聞こえる人も聞こえない人も、誰もが一緒に音楽を楽しみ、表現する喜びを共有できる素晴らしい活動です。

全国の手話合唱団は、様々な地域で活動しています。

前回お伝えした「ホワイトハンドコーラスNIPPON」は、東京、京都、沖縄に主要な拠点を持ち、長崎県、佐賀県江北町、福岡市、久留米市、徳島県など、全国8箇所に活動が広がっています。

その他、検索で確認できた活動団体や地域は以下の通りです。

  • 北海道: 新得町に「新得手話コーラス」という団体があります。
  • 宮城県: 気仙沼市、仙台市(広瀬市民センター、宮城社会福祉センター、荒町市民センター、太白障害者福祉センター、国見コミュニティセンター、若林区中央市民センター、泉社会福祉センター)、大河原町などで手話サークルや手話コーラスの活動が見られます
  • 愛知県: 東郷町に「手話サークル ほほえみN」があり、名古屋市では手話ソングライブが開催されています。
  • 大阪府: 大阪市東成区や阿倍野区などで手話サークルが活動しており、「一般社団法人手話エンターテイメント発信団oioi」のような手話エンターテイメントを専門とする団体もあります。
  • 広島県: 広島市亀山公民館に「手話コーラス Andante」という団体があり、平和公園でのストリートライブなども行っています。
  • 福岡県: 福岡市を拠点とする「ココペリーナ」というヒーリングボイスと手話歌の団体や、福岡ろう劇団博多のような手話を取り入れたミュージカルを行う団体もあります。

これらの情報から、手話合唱団や手話コーラスの活動は、特定の大きな団体だけでなく、地域の公民館や社会福祉センターなどを拠点に、各地で活発に行われていることがわかります。お住まいの地域や興味のある地域で「手話サークル」「手話コーラス」などのキーワードで検索してみると、より詳細な情報が見つかるかもしれません。

日本で「手話合唱団」という明確な形で活動を始めた一番古い団体を特定するのは非常に難しいですが、「手話コーラス」という形式が広まるきっかけとなった団体については、いくつかの情報が見つかります。

現在の「手話コーラス」の形式が広まりだしたのは、昭和52年(1977年)とされています。この年に東京都ろう者協会 手話コーラス部が発行した「手話でうたおう その1」という手話図解付きの歌集が、黒柳徹子さんの推薦もあって、手話コーラスを日本中に広めるきっかけになったとされています。

また、手話歌の歴史をさらに遡ると、現在残っている資料で確認できる日本で最初に手話歌を披露した人物は高橋潔氏とされています。彼は健聴者ながら手話を巧みに使い、口話法が主流だった当時のろう教育に抗して手話法を守った教育者でした。

高橋潔氏が手話で賛美歌を歌った記録は、昭和7年(1932年)10月に大阪聾唖基督日曜学校で披露されたものがあるそうです。これは「手話賛美」(サンライズ出版)に記されており、その流麗な手話は正に芸術的であったとされています。

したがって、「手話合唱団」という組織的な活動としては、東京都ろう者協会の手話コーラス部が、現代の「手話コーラス」の普及に大きな影響を与えた先駆的な存在と言えるでしょう。ただし、それ以前にも個人的な、あるいは小規模なグループでの手話歌の披露は行われていたと考えられます。

手話合唱活動を支援している主な組織や場所は多岐にわたりますが、大きく分けて以下のカテゴリーが挙げられます。

  1. 聴覚障害者団体・ろうあ連盟系組織:
    • 各地域の聴覚障害者協会、ろうあ連盟: これらの団体は、手話の普及啓発を目的としており、手話サークル活動の一環として手話合唱を支援・推進していることが多いです。手話講習会やイベントを通じて、発表の場を提供することもあります。
    • (一財)全日本ろうあ連盟: 全国的なろう者の団体として、手話文化の振興を支援しています。
  2. 社会福祉協議会・障害者福祉センター:
    • 各市区町村の社会福祉協議会: 地域住民の福祉向上を目的としており、障害者の社会参加を促す活動の一環として、手話サークルや手話合唱活動に場所の提供や情報提供、連携協力を行うことがあります。
    • 障害者福祉センター: 障害のある人々の自立支援や社会参加を促進する施設で、手話サークルや手話コーラスグループの練習場所として提供されたり、活動への情報提供や相談支援が行われたりします。
  3. 文化施設・コミュニティセンター:
    • 公民館・市民センター: 地域の生涯学習や文化活動の拠点として、手話サークルの活動場所として貸し出されることが非常に多いです。発表会やイベントの会場となることもあります。
    • 劇場・ホール: 手話合唱団がコンサートや発表会を行う際に、会場として利用されます。中には、共生社会の推進として、こうした活動に協力的な施設もあります。
  4. 教育機関:
    • 聾学校(聴覚特別支援学校): 手話教育を行っているため、学校内に手話歌の活動がある場合や、卒業生が地域で手話合唱団を結成する際に学校が協力することがあります。
    • 一部の大学・専門学校: 福祉系の学部や手話通訳養成課程などで、手話文化の一環として手話歌の活動が行われたり、研究対象となったりすることもあります。
  5. NPO法人・特定非営利活動法人:
    • ホワイトハンドコーラスNIPPON: 前回も触れましたが、まさに手話合唱(手話だけでなく、様々な障害を持つ子どもたちが参加する合唱団)を専門に支援・運営している代表的なNPO法人です。多様な子どもたちが一緒に音楽を創り、表現する場を提供しています。
    • 手話エンターテイメント発信団体(例:一般社団法人手話エンターテイメント発信団oioiなど): 手話を用いた歌やダンス、演劇などを通して手話の魅力を発信し、ろう者と聴者の交流を促進する活動を行っています。
  6. 自治体(地方公共団体):
    • 文化振興課・福祉課など: 地域によっては、障害者文化芸術活動の支援や、共生社会の実現に向けた取り組みの一環として、手話合唱団への補助金や活動支援を行っている場合があります。

これらの組織や場所が連携し合うことで、手話合唱活動は日本全国で支えられ、発展しています。もし具体的な地域でお探しであれば、「(地域名)手話サークル」「(地域名)手話コーラス」といったキーワードで検索し、地域の社会福祉協議会や公民館のウェブサイトを調べてみるのが最も手っ取り早いでしょう。

世界中で手話合唱団は存在し、活動しています。日本と同様に、聴覚に障害のある方々が音楽を表現し、聴者との交流を深めるための重要な手段となっています。

いくつか例を挙げます。

  • ホワイトハンドコーラス (White Hand Chorus): 日本の「ホワイトハンドコーラスNIPPON」の源流にもなっている、ベネズエラ発祥の音楽教育プログラム「エル・システマ」の一部として、1995年に誕生しました。聴覚、視覚、知的障害などを持つ子どもたちと、障害のない子どもたちが共に活動するインクルーシブな合唱団として、世界中に広がっています。
  • イギリスのKaos Signing Choir: Deaf and Hearing Childrenのための手話合唱団で、聴者と聴覚障害者の子どもたちが一緒に活動しています。2012年のロンドンオリンピック開会式で国歌を手話で披露したことでも知られています。
  • カナダのSt. John’s International Airport Deaf Choir: ニューファンドランド・ラブラドール州で活動するろう者の合唱団で、空港でのパフォーマンスなどが報じられています。
  • ドイツのベルリンの手話合唱団: クリスマスソングを手話でパフォーマンスする様子が報じられるなど、ドイツ国内でも手話合唱団が活動しています。
  • 中国のLittle Dolphin Hearing Disabled Children’s Choir: 補聴器を装用した30人以上の聴覚障害のある子どもたちで構成され、世界合唱大会で賞を獲得するなど、高い評価を得ています。
  • アイルランドのDeaftones: 「Ireland’s Got Talent」に出演し、聴覚障害者と聴者のメンバーが一体となってエド・シーランの曲を手話で表現し、観客を魅了しました。

このように、手話合唱は国境を越えて、多様な人々が音楽を通じてつながり、表現する場を提供しています。それぞれの国の手話や文化に合わせた表現方法があり、その独自性も魅力の一つとなっています。

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