発達障害や知的障害を含む障害者は生活保護を受けられますか?

障害者も生活保護を受けることができます。発達障害や知的障害を含む障害者の方も、生活保護の対象となります。ただし、生活保護を受給するためには、以下の条件を満たす必要があります。

  1. 使える資産をすべて活用していること
  2. 働くことができない、または働いても最低生活費を下回る収入しか得られないこと
  3. 他の公的支援や融資が受けられないこと
  4. 家族や親族からの援助が受けられないこと

障害者が生活保護を受給する場合、以下の点に注意が必要です。

  • 障害の程度や地域によって、生活保護費に障害者加算が付きます。
  • 障害年金を受給できる場合は、まず障害年金が優先的に支給され、生活保護費は年金額を差し引いた差額のみが支給されます。
  • 1級と2級の障害年金受給権者には、生活保護費に障害者加算がつき、結果として合計支給額が高くなります。

生活保護の申請に関しては、必要な書類がそろっていなくても申請できます。また、住むところがない人でも申請が可能です6。障害者の方が生活に困窮している場合は、地域の福祉事務所に相談し、生活保護の申請を検討することをおすすめします。


障害者が生活保護を受ける際の手続きは以下の流れになります。

  1. 事前相談:
    最寄りの福祉事務所の生活保護担当に出向き、生活保護制度の説明を受けます。
  2. 申請
    福祉事務所に生活保護申請書と必要書類を提出します。必要書類には身分証明書、収入証明書、資産状況書類などが含まれます。
  3. 調査:
    申請後、以下の調査が行われます。
  • 生活状況の実地調査(家庭訪問など)
  • 資産調査(預貯金、保険、不動産など)
  • 扶養義務者による援助の可能性調査
  • 社会保障給付や就労収入の調査
  • 就労可能性の調査
  1. 審査と決定:
    調査結果に基づいて審査が行われ、支給の可否が決定されます。
  2. 保護費支給:
    審査が通ると、最低生活費から収入(年金や給与など)を引いた額が毎月支給されます。
  3. 継続的な手続き:
    受給中は毎月の収入状況の申告、定期的な訪問調査への対応、就労可能な場合は就労に向けた助言や指導を受けることが必要です。

障害者の場合、障害者加算を受けるための追加手続きがあります。

  • 障害者加算の申請には、身体障害者手帳、精神障害者保健福祉手帳、国民年金証書、特別児童扶養手当証書、福祉手当認定通知書、または医師の診断書などの提出が必要です。
  • 障害者加算は申請しないと支給されないため、自ら申請する必要があります。

なお、障害年金を受給できる場合は、まず障害年金が優先的に支給され、生活保護費は年金額を差し引いた差額のみが支給されます。


2025年3月現在の障害者加算の具体的な金額は以下のとおりです。

障害基礎年金

  1. 1級障害:
    • 年額1,020,000円(月額約85,000円)
  2. 2級障害:
    • 年額816,000円(月額約68,000円)

子の加算額

  • 2人目まで:1人につき年額234,800円(月額約19,567円)
  • 3人目以降:1人につき年額78,300円(月額約6,525円)

なお、子の加算は18歳到達年度末までの子ども、または20歳未満で障害等級1級または2級の子どもが対象となります。


障害厚生年金

障害厚生年金の金額は個人の標準報酬月額や加入期間によって異なりますが、おおよその目安として

  • 1級:障害基礎年金に加えて、月額約12万円〜15万円
  • 2級:障害基礎年金に加えて、月額約10万円〜12万円
  • 3級:月額約5万円〜6万円

実際の受給額は、家族構成や個人の状況によって変わります。例えば、配偶者と子供2人の4人世帯の場合:

  • 1級:月額約17万円〜21万円
  • 2級:月額約15万円〜18万円

これらの金額は毎年見直される可能性があるため、最新の情報を確認することをおすすめします。


障害者加算は、障害を持つ生活保護受給者に対して通常の生活保護費に加えて支給される追加の手当です。この加算は、障害による特有の支出を考慮して設けられており、障害の種類や程度、そして居住地域によって金額が異なります。

障害者加算の主な特徴は以下の通りです。

  1. 障害の種類と程度による区分:
    • 身体障害、知的障害、精神障害など、様々な障害が対象となります。
    • 障害の程度によって「ア」と「イ」の2つに分類されます。
  2. 地域区分による金額の違い:
    • 1級地から3級地まで、地域ごとに異なる金額が設定されています。
    • 例えば、1級地でアに該当する場合は26,810円、3級地でイに該当する場合は15,380円となります。
  3. 地域区分の決定要因:
    • 地域区分は主に公務員の地域手当に基づいて決められます。
    • 都市部ほど高い級地に分類される傾向があります。
  4. 入院患者や施設入所者の場合:
    • 地域区分に関係なく、一律の金額が設定されています。
    • アに該当する場合は22,310円、イに該当する場合は14,870円です。
  5. 申請方法:
    • 生活保護の申請時に障害者手帳の提示が必要です。
    • 障害の種類や程度に応じた診断書や証明書が求められることがあります。

障害者加算は、障害を持つ方々の生活をより安定させるための重要な支援策の一つです。個々の状況に応じて適切な加算を受けられるよう、詳細については地域の福祉事務所に相談することが推奨されます。


障害者が生活保護を受ける際の主な注意点は以下の通りです。

  1. 他の制度の確認:
    生活保護申請前に、傷病手当、労災保険、失業保険、障害年金などの他の支援制度を確認し、利用可能な場合はそちらを優先します。
  2. 収入条件:
    収入が生活保護費を下回っている必要があります。ただし、障害が原因で十分に働けない場合は、考慮される可能性が高くなります。
  3. 資産の活用:
    貯金、株、不動産、自動車、宝石などの売却可能な資産がある場合、まずそれらを活用するよう指導されます。
  4. 家族・親族からの援助:
    3親等以内の親族に援助の可能性を確認する「扶養照会」が行われます。援助を受けられる場合、生活保護は認められません。
  5. 診断書の準備:
    精神障害者の場合、働けない客観的な理由を示すため、かかりつけ医から「就労不可」などの記載がある診断書を取得することが重要です。
  6. 住宅扶助の上限:
    生活保護では住宅扶助に上限があります。例えば、東京都23区の単身者の場合、53,700円までです。上限を超える家賃の場合、引っ越しを指導される可能性があります。
  7. 障害者加算の確認:
    障害の程度によっては障害者加算を受けられる可能性があります。身体障害者手帳や障害年金の等級に応じて加算額が決まります。

これらの点に注意しながら、個々の状況に応じて適切な支援を受けられるよう、地域の福祉事務所に相談することが重要です。


資産がある場合、生活保護の申請に以下のような影響があります。

  1. 原則として資産の活用が必要:
    生活保護制度では、申請者が保有する資産を売却し、生活費に充てることが前提となります。
  2. 資産の種類による影響:

不動産

  • 自宅:最低限度の生活維持に重要で、売却よりも生活維持や自立に役立つ場合は保有が認められることがあります。
  • 事業用家屋:周辺地域の低所得世帯と比較して問題ない範囲であれば認められる可能性があります。
  • 貸家:原則として認められませんが、一定条件下では保有可能です。

土地

  • 宅地:自宅と同様の扱いです。
  • 田畑・山林:一定条件下で保有が認められる場合があります。

自動車

公共交通機関の利用可能性や、通勤・通院などの必要性に応じて判断されます。

保険

原則として解約が求められますが、掛け捨て型や資産価値の低いものは例外的に認められることがあります。

  1. 売却が必要な資産:
  • 資産価値の高い家屋
  • 使用していない土地
  • 資産価値の高い自動車
  • 資産として扱われる保険
  • 貴金属や有価証券
  1. 預貯金の影響:
    一定額以上の預貯金がある場合、生活保護の申請が難しくなります。
  2. 資産の活用順序:
    生活保護の申請前に、まず保有資産を活用することが求められます。
  3. 例外的な保有許可:
    特殊な事情がある場合、例外的に資産保有が許可されるケースもあります。

資産がある場合でも、個々の状況に応じて判断されるため、詳細は福祉事務所に相談することが重要です。


家族や親族が援助できる場合、生活保護の申請に以下のような影響があります。

  1. 扶養照会の実施:
    生活保護を申請すると、福祉事務所は申請者の親族に対して「扶養照会」を行います。これは主に三親等(曾祖父母・おじ・おば・甥・姪)までの親族に対して行われます。
  2. 援助の優先:
    親族からの援助は生活保護よりも優先されます。つまり、頼れる親族がいる場合、生活保護を受給する必要がないと判断される可能性が高くなります。
  3. 生活保護費の減額:
    親族からの援助がある場合、その分だけ生活保護費が減額されることがあります。
  4. 申請の可能性:
    ただし、親族からの援助があっても、それだけでは最低限度の生活を送ることができない場合は、生活保護を申請できる可能性があります。
  5. 扶養照会の拒否:
    扶養照会を受けた親族側に「経済的に援助できない」という理由がある場合は、援助を断ることができます。
  6. 特殊な事情の考慮:
    虐待やDVなどの特殊な事情がある場合、扶養照会を行わずに生活保護を受給できることがあります。

結論として、家族や親族が援助できる場合、生活保護の申請は難しくなる可能性が高いですが、個々の状況に応じて判断されます。援助の程度や申請者の生活状況によっては、生活保護を受給できる場合もあります。

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