視覚障害者誘導ブロックは何で信号の横断歩道前で途切れているのですか?

視覚障害者誘導ブロックが信号の横断歩道前で途切れているのは、主に以下の理由が考えられます。

  1. 警告と誘導の区別のため:
    • 誘導ブロック(線状ブロック)は「進む方向」を示します。
    • 警告ブロック(点状ブロック)は「注意すべき場所」や「止まるべき場所」を示します。
    • 横断歩道の手前で誘導ブロックが途切れ、警告ブロックに変わることで、視覚障害者は「この先は横断歩道であり、信号の確認や周囲の状況に注意が必要」であることを認識できます。
  2. 安全確保のため:
    • 横断歩道は、車両が通行する可能性のある場所です。誘導ブロックが横断歩道上まで続いてしまうと、視覚障害者が信号を確認せずにそのまま横断歩道に進入してしまう危険性があります。
    • 警告ブロックで一旦停止を促し、信号の音響(信号に音声案内がある場合)や周囲の車の音などを聞いて、安全を確認してから横断するように促す役割があります。
  3. 横断方向のズレ防止:
    • 誘導ブロックは特定の方向へ進むことを示しますが、横断歩道は広い場合が多く、誘導ブロックが横断歩道の中央まで続いていると、視覚障害者がブロックに沿って進むうちに、斜めに横断してしまう可能性があります。
    • 横断歩道手前で途切れることで、視覚障害者は自力でまっすぐ横断するよう意識を促されます。

ただし、横断歩道上で完全に手掛かりがなくなると、視覚障害者がまっすぐ渡れず、車道の中でさまよってしまう危険性も指摘されています。 このため、近年では横断歩道上での安全な誘導方法についても議論がされており、一部では横断歩道上にも何らかの誘導補助が検討されているケースもあります。

まとめると、視覚障害者誘導ブロックが横断歩道前で途切れるのは、視覚障害者に「ここは注意が必要な場所である」と警告し、安全に横断してもらうための工夫と言えます。

視覚障害者誘導ブロックの設置基準は、主に以下の法令やガイドラインによって定められています。

  1. JIS T 9251「高齢者・障害者配慮設計指針-視覚障害者誘導用ブロック等の突起の形状・寸法及びその配列」
    • これは、視覚障害者誘導用ブロックの形状、寸法、突起の配列について細かく規定した日本産業規格(JIS)です。
    • 点状ブロック(警告ブロック)と線状ブロック(誘導ブロック)の2種類が定義されており、それぞれの突起の高さや間隔、ブロックの大きさなどが定められています。
    • このJIS規格は、国際規格の基にもなっています。
  2. 「視覚障害者誘導用ブロック設置指針」(建設省:現在の国土交通省)
    • 1985年に建設省から公表された指針で、具体的な設置場所や原則について示されています。
    • 例えば、「歩道上に設置すること」「線状ブロックは歩行方向の直角方向に約30cmの幅で設置すること」「一連で設置する線状ブロックと点状ブロックはできるだけ接近させること」などが盛り込まれています。
    • 横断歩道手前での警告ブロックの設置など、具体的な誘導方法もこの指針で示されています。
  3. 「道路の移動等円滑化に関するガイドライン」(国土交通省)
    • 道路管理者向けに、道路における移動等円滑化のための整備内容を具体的に示したガイドラインです。
    • 視覚障害者誘導ブロックの設置箇所(立体横断施設、乗合自動車停留所、駅の出入口付近など)や、狭い幅員の歩道での設置方法など、より実践的な内容が記載されています。
    • 踏切道での誘導についても言及されています。

これらの基準は、視覚障害者が安全かつ円滑に移動できるよう、以下の点を考慮して策定されています。

  • 認識しやすさ: 靴底や白杖で触れた際に、明確に点状と線状の区別ができること。また、視覚に障害があっても、周囲の路面との色のコントラスト(輝度比)によって識別しやすいこと(黄色が基本)。
  • 安全性: つまずきにくい突起の高さや形状、滑りにくさ、耐久性などが求められます。
  • 連続性と統一性: 誘導が途切れないように連続して設置することや、異なる場所でも同じような誘導パターンであること。
  • 明確な情報伝達: 誘導ブロックと警告ブロックの使い分けにより、進むべき方向や注意すべき場所を明確に伝えること。

これらの基準は、あくまで「指針」や「ガイドライン」ですが、多くの地方自治体はこれらを基に、地域の特性に応じた「視覚障害者誘導用ブロック敷設基準」などを策定し、整備を進めています。

視覚障害者誘導ブロックが途切れることによって、視覚障害者には以下のような危険が生じる可能性があります。

  1. 方向感覚の喪失と迷子になる危険:
    • 視覚障害者は誘導ブロックの連続性によって方向を認識し、目的地まで移動します。ブロックが途切れると、次にどちらへ進めば良いか分からなくなり、方向感覚を失って迷子になってしまう可能性があります。特に、広々とした空間や複雑な場所(駅の構内、大きな広場など)では、その危険性が増します。
  2. 障害物や危険箇所への衝突・転落:
    • 誘導ブロックは、進行方向に障害物がないことを前提としています。途切れた先に、電柱、看板、自転車、あるいは段差、階段、溝といった障害物や危険箇所がある場合、それを認識できずに衝突したり、転落したりする危険があります。
    • 特に、信号のない横断歩道や、車両の往来が多い場所で途切れると、車の接近に気づかず、事故に遭うリスクが高まります。
  3. 横断歩道での危険:
    • 横断歩道の手前で誘導ブロックが途切れることは、前述の通り「注意すべき場所」という警告の意味合いがあります。しかし、途切れた後に全く手がかりがない場合、視覚障害者はまっすぐ横断することが困難になります。
    • 結果として、斜めに横断してしまったり、横断中に方向を見失って車道の中央で立ち往生したりする危険があります。これは車両との接触事故に繋がりかねない非常に大きなリスクです。
  4. 心理的負担と自立歩行の阻害:
    • 誘導ブロックは、視覚障害者が安心して自立歩行するための重要な手がかりです。ブロックが突然途切れることは、彼らにとって大きな不安やストレスを与えます。
    • 「この先どうなっているんだろう」「また途切れていないか」といった不安は、外出への意欲を削ぎ、自立した社会参加を阻害する要因にもなりかねません。

これらの危険を避けるため、誘導ブロックの設置においては、連続性の確保や、途切れる場所での適切な警告、そして可能であれば次の誘導へのスムーズな接続が非常に重要となります。

視覚障害者誘導ブロック(Tactile Paving / Detectable Warning Surfaces)は、日本で1965年に発明され、その後世界各国に普及しました。しかし、その設置方法や規格は、国や地域によって異なる場合があります。

以下に、主要な特徴と違いをいくつか挙げます。

共通する基本的な考え方

多くの国で共通しているのは、以下の2種類のブロックの概念です。

  1. 警告を示すブロック (Warning Tactiles / Attention Indicators):
    • 通常、丸い突起(ドーム型、水泡型、Blister Type など)が規則的に並んだ形状をしています。
    • 危険な場所(階段の上り下り、エスカレーター、プラットホームの端、横断歩道の手前など)や、進路変更が必要な場所、重要な分岐点などで使用されます。
    • 日本の点状ブロックに相当します。
  2. 誘導を示すブロック (Guidance Tactiles / Directional Indicators):
    • 通常、線状の突起(棒状、Corduroy Type、Directional Bar Type など)が進行方向に並んだ形状をしています。
    • 安全な経路に沿って視覚障害者を誘導する目的で使用されます。
    • 日本の線状ブロックに相当します。

国による主な違い

  1. 突起の形状と寸法:
    • 基本的な分類は同じでも、具体的な突起の高さ、直径、間隔、ブロック自体の大きさなどは、各国・地域の規格(例:ISO、CEN、BS、ADAなど)によって細かく異なります。
    • 例えば、イギリスの「Corduroy Hazard Warning Surface」は、日本の線状ブロックに似ていますが、警告を示す目的で使われるなど、形状と意味合いが異なる場合があります。
  2. 色の使用と意味:
    • 日本では黄色が一般的で、視認性の低い人にもコントラストで認識しやすいように考慮されています。
    • しかし、他の国では必ずしも黄色に統一されているわけではありません。
      • イギリス: 赤色の突起ブロックは「制御された横断歩道(信号があるなど)」を示すことが多いです。黄土色(Buff)の突起ブロックは「制御されていない横断歩道」で使われることがあります。
      • アメリカ (ADA): 特定の色を義務付けてはいませんが、周囲の地面との「高い輝度コントラスト」を推奨しています。一般的には、コンクリート色に対して黄色や濃い色が多く見られます。
    • 色覚多様性への配慮から、色だけでなく、明るさのコントラストが重要視されています。
  3. 設置場所と利用目的のニュアンス:
    • 横断歩道: 日本では横断歩道手前で警告ブロックに切り替わるのが一般的ですが、一部の国では横断歩道上にも誘導ブロックが設置されるケースや、横断方向を意識させるような特殊なブロックが使用されることもあります。
    • プラットホーム: 駅のプラットホームの縁に設置される警告ブロックは、多くの国で見られますが、その具体的なパターンや配置は異なる場合があります(例:アメリカの「Truncated Domes」は日本の点字ブロックに似ている)。
    • その他:
      • 自転車道と歩道の分離を示すための特殊な誘導ブロック(例:イギリスのCycleway Paving)が存在する国もあります。
      • 特定の施設内(空港、大きな駅など)で、より複雑な誘導システム(例えば、オフセットされた突起パターンで広場を横切る方向を示すなど)が導入されている例もあります。
  4. 標準化と法的義務:
    • 多くの国で、アクセシビリティに関する法律や規制(例:アメリカのADA、ヨーロッパのCEN規格など)によって、視覚障害者誘導ブロックの設置が義務付けられています。
    • 国際標準化機構(ISO)でも、視覚障害者誘導用ブロックに関する規格(ISO 23599など)が策定されており、これらが各国の国内規格に影響を与えています。

課題と今後の方向性

  • 世界的な統一性の欠如: 各国で規格や設置方法が異なるため、国際的に移動する視覚障害者にとっては混乱が生じる可能性があります。完全に統一することは難しいものの、国際的な標準化に向けた努力は続けられています。
  • 「途切れる」場所の解釈: 日本の横断歩道前のように、特定の場所で誘導が途切れることの安全性と、連続性による誘導の利便性のバランスは、各国で様々な議論があります。
  • 他のアクセシビリティ要素との連携: 誘導ブロックだけでなく、音声案内、触覚地図、点字表示、そして近年ではスマートフォンのアプリやIoT技術との連携も、視覚障害者の移動支援において重要視されています。

このように、視覚障害者誘導ブロックは日本で生まれた概念ですが、各国でその国の事情や法規制、文化に合わせて進化し、多様な形で設置されています。

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