車椅子で飲食店を利用する際に、気を使ってしまうお気持ち、よく分かります。実際、バリアフリー対応の飲食店は少しずつ増えてきてはいますが、まだまだ全ての店舗が完璧に対応できているわけではないのが現状です。
バリアフリー対応の現状と進展
- 大手チェーン店での取り組み: くら寿司やコメダ珈琲など、全国展開している大手チェーン店では、新しい店舗を中心に積極的にバリアフリー化に取り組んでいるところが増えています。スロープの設置、多機能トイレの設置、車椅子用席の確保といった対応が見られます。
- 小規模店舗の課題: 一方で、小規模な飲食店では、スペースや費用の問題から、十分なバリアフリー化が進んでいないのが実情です。国土交通省の調査でも、小規模店舗でのバリアフリー法適合はまだ少ないとされています。
- 「心のバリアフリー」の重要性: ハード面だけでなく、スタッフの理解や配慮も非常に重要です。事前に電話で車椅子利用であることを伝えたり、困ったときに声をかけやすい雰囲気があるかどうかも、利用しやすさに大きく影響します。
- 情報提供の充実: 最近では、グルメサイトや専用アプリでバリアフリー情報を掲載している店舗が増えてきました。写真で店内の様子やバリアフリー対応状況を確認できるサイトもあり、お店選びの参考になります。
入りやすい店を見つけるには
気兼ねなく利用できるお店を見つけるためのポイントとしては、以下のようなものがあります。
- 事前に情報収集をする:
- グルメサイトやアプリの活用: 「車椅子入店可」「バリアフリー対応」などの条件で検索できるサイト(例:楽天ぐるなび、ホットペッパーグルメ、OZmallなど)を活用しましょう。
- 店舗の公式ウェブサイトやSNS: 店内の写真や、バリアフリーに関する情報が掲載されている場合があります。
- Googleマップの口コミ: 実際に利用した人の口コミで、車椅子での利用に関する情報が得られることがあります。
- 電話で確認する: 気になるお店が見つかったら、事前に電話で「段差の有無」「車椅子で利用できる席があるか」「多機能トイレの有無」「スタッフの方に手伝ってもらえるか」などを具体的に確認すると安心です。
- 実際に足を運んでみる: 可能であれば、一度下見に行ってみるのも良いでしょう。
今後の展望
2024年4月から障害者の合理的配慮の提供が民間事業者にも義務化されたこともあり、今後、より多くの店舗でバリアフリー化への意識が高まり、対応が進んでいくことが期待されます。また、高齢化社会の進展に伴い、すべての人にとって利用しやすい環境整備のニーズはさらに高まっていくでしょう。
まだ気を使う場面は少なくないかもしれませんが、情報収集や事前の確認をすることで、より快適に利用できるお店を見つけやすくなっているのは確かです。
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「合理的配慮」の義務化は、障害のある方が社会生活を送る上で大きな一歩ですが、車椅子での飲食店利用においては、まだ十分な対応が進んでいるとは言い難い状況ですね。義務化されたとはいえ、すぐに全ての店舗が完璧に対応できるわけではないのが現実です。
現状として考えられる要因と、今後の展望についてお話しします。
車椅子対応がまだ進んでいないと感じる要因
- 「不当な差別的取扱い」の解消が優先されがち:
- 合理的配慮の義務化は、「不当な差別的取扱い」の禁止と「合理的配慮の提供」の義務化を柱としています。多くの事業者はまず、「車椅子での入店を拒否する」「サービス提供を拒む」といった直接的な差別をしないことに力を入れがちです。
- 一方、物理的な設備の改修や従業員の研修など、コストや時間のかかる「合理的配慮」の提供は、段階的な対応となる傾向があります。
- 「過重な負担」の解釈:
- 事業者は「過重な負担」がない範囲で合理的配慮を提供する義務があります。この「過重な負担」の解釈が、事業者によって異なる場合があります。
- 特に、スペースが限られている小規模店舗や、資金力に乏しい個人経営の店舗では、スロープの設置やトイレの改修などが「過重な負担」と判断され、対応が難しいケースも少なくありません。
- 情報共有と具体的なガイドラインの不足:
- 「合理的配慮」と一口に言っても、どのような対応が求められるのか、具体的な事例やノウハウが十分に共有されていない場合があります。
- 特に、車椅子利用者の具体的なニーズ(通路幅、テーブルの高さ、トイレの広さなど)に関する詳細なガイドラインが、業界全体に行き渡っていないことも考えられます。
- 意識と理解の浸透不足:
- 義務化されたとはいえ、全ての従業員が障害者への配慮の重要性や具体的な対応方法を理解しているわけではありません。
- ハード面の整備だけでなく、困っている車椅子利用者への声かけや、臨機応変な対応といった「心のバリアフリー」がまだ十分に浸透していないことも、不便を感じる原因となります。
今後の展望と期待できること
「合理的配慮」の義務化は始まったばかりですが、これによって確実に変化は起きていくと考えられます。
- 意識の向上: 義務化されたことで、事業者側の障害者への配慮に対する意識は間違いなく高まります。
- 事例の蓄積と共有: これから具体的な配慮事例が蓄積され、ガイドラインもより明確になっていくことが期待されます。他の店舗の成功事例を参考に、対応を進める事業者も増えるでしょう。
- 消費者の声の重要性: 車椅子利用者からの「声」は、事業者にとって非常に貴重な情報源となります。不便に感じたことや、こうしてほしいという要望を伝えることで、改善につながる可能性が高まります。
- 行政の役割: 行政も、合理的配慮の提供を促すための啓発活動や、事業者に向けた研修、相談窓口の設置などをさらに強化していくことが求められます。
- 多様なニーズへの対応: 車椅子だけでなく、様々な障害のある方々のニーズに対応することで、より多様な人々が利用しやすい社会へと変化していくことが期待されます。
確かに、まだ「義務化されたのに…」と感じる場面は多いかもしれませんが、義務化はあくまでスタートラインです。社会全体でこの動きを加速させ、誰もが気兼ねなく飲食店を利用できる日が来ることを願っています。
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電動車椅子で外出中に充電が心もとなくなると、不安になりますよね。飲食店で充電をお願いすることは、お店側の状況にもよりますが、可能であればお願いしてみる価値は十分にあります。
お店に充電を頼む際のポイント
- 事前の確認がベスト:
- もし時間があるなら、入店前に電話で「電動車椅子の充電をさせて頂くことは可能でしょうか?」と尋ねるのが最も確実です。
- その際、「少しの時間で大丈夫です」「コンセントをお借りしたいだけです」など、具体的なニーズを伝えると、お店側も判断しやすくなります。
- お店によっては、電動車椅子用の充電サービスを公式に提供しているところもあります(数は多くありませんが)。
- 入店時に丁寧に尋ねる:
- 電話での確認が難しい場合でも、入店時にスタッフの方に「申し訳ありませんが、電動車椅子のバッテリーが少なくなってしまいまして、少しだけ充電させて頂くことは可能でしょうか?」と丁寧に尋ねてみましょう。
- お店が忙しい時間帯や、他のお客様の迷惑になりそうな場所では避けるなど、お店側の状況を配慮することも大切です。
- コンセントの場所と安全性の確認:
- 充電を許可してもらえた場合でも、充電器と電動車椅子のコードが通路の邪魔にならないか、つまずきやすい場所ではないかなど、安全に配慮できる場所を選びましょう。
- 水気の近くや、火気の近くは避けるのが鉄則です。
- 充電中は、目を離しすぎないようにしましょう。
- お店への配慮と感謝の気持ち:
- 充電させてもらったら、食事や飲み物を注文するなど、お店への貢献も忘れずに。
- 最後に、「ありがとうございました、大変助かりました」と感謝の気持ちを伝えることで、お店の方も快く対応してくれたことを喜んでくれるはずです。
飲食店側の状況と「合理的配慮」
「合理的配慮」の義務化によって、障害のある方からの申し出に対して、お店側は可能な範囲で対応することが求められるようになりました。電動車椅子の充電についても、以下のような考え方が適用される可能性があります。
- 過重な負担にならない範囲で: お店に空いているコンセントがあり、安全な場所が確保でき、他のお客様への影響が少ない場合など、お店にとって「過重な負担」にならない範囲であれば、充電を許可してもらえる可能性は高いです。
- 断られる可能性も: ただし、お店のコンセントが限られている、電気容量の問題、安全性の確保が難しい、店内が非常に混雑している、などの理由で、断られることもあり得ます。その場合は、無理強いせず、別のお店を探すなどの対応が必要になります。
まとめ
電動車椅子の充電は、緊急性の高いニーズであり、お店に理解と協力を求めることは十分妥当です。ただし、お店の状況を最大限に配慮し、丁寧に依頼することが成功の鍵となります。まだ多くの飲食店で「電動車椅子充電サービス」が一般化しているわけではないので、個別に交渉する形になることが多いでしょう。
最近では、一部の商業施設や公共施設で電動車椅子の充電スポットを設置している場所もありますので、お住まいの地域や外出先の情報を調べてみるのも良いかもしれません。