障害がある方も運転免許の更新は可能です。
ただし、その障害の種類や程度によっては、運転に適しているかどうかの適性検査が通常より詳しく行われたり、医師の診断書の提出が求められたりすることがあります。
診断書が必要になるケースについて
一般的に、以下のいずれかの状況に該当する場合、医師の診断書の提出が必要になる可能性があります。
- 一定の病気等に該当する場合:
- 過去5年以内に、病気(治療に伴う症状も含む)を原因として、意識を失ったことがある。
- 過去5年以内に、病気を原因として、身体の一部が一時的に思い通りに動かせなくなったことがある。
- 十分な睡眠時間を取っているにもかかわらず、日中に眠り込んでしまう回数が週3回以上ある。
- 医師から、病気を理由に運転を控えるよう助言を受けている。
- うつ病、てんかん、統合失調症、無自覚性の低血糖症、重度の眠気を呈する睡眠障害、アルコール依存症、その他、運転に必要な能力に影響を与える可能性のある症状を呈する病気がある場合。
- 身体の障害があり、運転に条件が付く場合:
- 手動式アクセルやブレーキなどの補助装置が必要な場合や、特定車種に限定される場合など、免許に条件が付与されることがあります。この場合、身体障害者手帳など、障害に関する情報を持参するとスムーズな場合があります。
手続きの流れと注意点
- 事前に警察署や運転免許センターに相談する: ご自身の障害の状況を伝え、運転免許の更新が可能か、どのような書類が必要か、適性検査の内容、診断書の要否などを事前に確認することをおすすめします。特に、一定の病気に該当する可能性がある場合は、「安全運転相談」という窓口で相談が可能です。
- 更新手続きに必要な一般的な書類:
- 運転免許証
- 更新連絡書(ハガキ)
- 更新手数料、講習手数料
- 眼鏡や補聴器など、視力や聴力を補うもの(必要な場合)
- 在留カードなど(外国籍の方のみ)
- 身体障害者手帳(お持ちの場合、任意ですが持参すると良いでしょう)
- 質問票の記入: 更新時には、病気に関する質問票を記入します。ここで「はい」と回答する項目がある場合、詳細な確認や診断書の提出を求められることがあります。
- 適性検査: 視力検査などが行われます。必要に応じて、身体の機能に関する検査も行われます。
ポイント
- 「障害があるから更新できない」ということではありません。 運転に必要な能力が維持されているかどうかが重要です。
- 診断書は、公安委員会が指定する様式であることが多いため、ご自身で事前に取得するのではなく、警察署や運転免許センターに相談した上で指示に従ってください。
- 病院によっては、運転免許更新用の診断書作成に対応していない場合もあります。その場合は、免許センターで相談することで、対応可能な病院を紹介してもらえることがあります。
ご不明な点があれば、お住まいの都道府県の警察の運転免許センターに直接お問い合わせいただくのが最も確実です。
・
運転免許の取得や更新が難しい、または運転が制限される可能性のある障害や病気は、主に安全な運転に必要な認知、予測、判断、操作のいずれかの能力を欠くおそれがある場合です。
具体的には、道路交通法やその関連法令で定められている「一定の病気等」や、身体の機能に著しい障害がある場合が該当します。
一定の病気等(主に医師の診断書が求められるケース)
これらの病気は、症状によっては運転中に意識障害、運動障害、判断能力の低下などを引き起こす可能性があり、重大な交通事故につながる恐れがあるため、慎重な判断が求められます。
- 認知症: 判断力や記憶力の低下により、安全な運転が困難になる可能性があります。
- 統合失調症: 幻覚や妄想などの症状により、運転に必要な認知、予測、判断、操作能力に影響を及ぼす可能性があります。ただし、症状が安定している場合は、個別の判断となります。
- てんかん: 発作により意識障害や運動障害が起こる可能性があるため、発作の再発のおそれがなく、意識障害や運動障害が伴わないもの、睡眠中に限って再発するものなどを除き、原則として取得・更新が難しいとされます。
- 再発性の失神: 脳全体の虚血により一過性の意識障害をもたらす病気で、発作が再発するおそれがあるもの。不整脈や起立性低血圧など、様々な原因が考えられます。
- そううつ病(躁病、うつ病を含む): 運転に必要な能力を欠くおそれがある症状を呈しないものを除き、運転に支障をきたす可能性があります。特に躁状態や重度のうつ状態では、集中力や判断力が低下することがあります。
- 無自覚性の低血糖症: 血糖値の低下を自覚症状なく繰り返し、意識障害を引き起こすことがあるため、運転中に突然意識を失うリスクがあります。
- 重度の眠気の症状を呈する睡眠障害: 睡眠時無呼吸症候群(SAS)など、日中に耐え難いほどの眠気を伴う場合、運転中に居眠りをするリスクが高まります。
- アルコール依存症、麻薬、大麻、あへん、覚せい剤等の中毒者: 薬物の影響により、運転能力が著しく低下するため、取得・更新ができません。
- その他、安全な運転に支障のある方:
- 脳卒中(脳梗塞、脳出血、くも膜下出血など)の後遺症: 麻痺、視力障害、視野障害、記憶障害、注意障害、判断障害など、後遺症の状況によっては運転に支障をきたすことがあります。
- 高次脳機能障害: 注意障害、記憶障害、遂行機能障害など、脳の損傷によって生じる認知機能の障害により、運転が難しくなることがあります。
身体の障害(主に運転に条件が付くケース)
身体の障害がある場合でも、多くの場合は適切な条件(補助装置の装着、AT車限定など)を付与することで運転が可能になります。しかし、その障害の程度によっては取得・更新が難しくなる場合があります。
- 視覚障害:
- 重度の視力障害や視野の制限: 眼鏡やコンタクトレンズなどで矯正しても、法律で定められた視力や視野の基準を満たせない場合、運転はできません。
- 半盲: 視野の半分が見えない場合など、安全確認が困難になることがあります。
- 聴覚障害:
- 補聴器を使用しても、法律で定められた聴力の基準を満たせない場合や、緊急車両のサイレンなどが聞こえない場合。ただし、ワイドミラーの装着義務などの条件で取得できる場合もあります。
- 運動機能障害(肢体不自由):
- 手足や体幹の機能に重度の障害があり、補助装置を使用してもハンドル、アクセル、ブレーキなどの操作が困難な場合。
- 特に、麻痺などで突発的な事態に対応できないほどの運動能力の低下がある場合。
判断の基準
重要なのは病名そのものよりも、その病気が運転に必要な能力にどれだけ影響を及ぼしているかです。症状が安定しており、医師が安全な運転に支障がないと判断すれば、免許の取得や更新が認められることもあります。
必ず事前に運転免許センター(運転免許試験場)の安全運転相談窓口に相談し、ご自身の状況を詳しく説明してください。 専門の担当者が、必要な手続きや書類、適性検査の内容について具体的にアドバイスしてくれます。
・
障害者手帳を持っていること自体が、運転免許の更新に直接的な影響を与えることはありません。
運転免許の更新は、あくまで「運転に必要な能力が備わっているかどうか」を判断するものであり、障害者手帳の有無で運転の可否が決まるわけではありません。
ただし、障害者手帳を持っているということは、何らかの障害があることを意味します。その「何らかの障害」が運転に必要な能力に影響を与える可能性がある場合に、更新手続きに影響が出てきます。
具体的には、以下のような点が影響する可能性があります。
1. 適性検査の重点的な確認
障害の種類によっては、通常の視力検査や聴力検査に加え、より詳細な身体能力の適性検査が行われることがあります。
- 身体障害(肢体不自由など): 身体の動きに制限がある場合、ハンドル操作、ペダル操作、視界の確認などが適切に行えるかを確認します。必要に応じて、手動式アクセルやブレーキなどの補助装置の装着、AT車限定といった条件が免許に付与されることがあります。
- 視覚障害: 視力や視野が、運転に必要な基準を満たしているか、眼鏡やコンタクトレンズで矯正可能かなどを確認します。
- 聴覚障害: 聴力基準を満たしているか、または補聴器を使用しても基準を満たせない場合に、ワイドミラーの装着義務などの条件が付与されることがあります。
2. 医師の診断書の提出
障害の原因となっている病気や状態が、「安全な運転に必要な能力を欠くおそれのある病気等」に該当する可能性がある場合、医師の診断書の提出を求められることがあります。これは、障害者手帳を持っているかどうかにかかわらず、運転に影響する可能性のある病気がある全ての人に当てはまります。
例えば、
- てんかん
- 統合失調症
- 認知症
- 再発性の失神
- 重度の眠気を伴う睡眠障害
- 脳卒中や高次脳機能障害の後遺症
- うつ病、躁病などで運転に支障をきたす恐れがある場合
などがこれに該当します。
障害者手帳を持っていることで、運転免許センター側が「この人は運転に影響する可能性のある病気や障害があるかもしれない」と判断しやすくなるため、診断書の提出を求められる可能性が高まる、と考えることができます。
3. 自己申告の重要性
運転免許の更新時には、「質問票」という病気に関する書類を記入します。ここで「はい」と回答する項目がある場合(例えば、過去に意識を失ったことがある、運転に影響するような病気があると医師から指摘されているなど)、診断書の提出を求められることがあります。障害者手帳を持っている場合、その背景にある病状について正直に申告することが重要です。
虚偽の申告は罰則の対象となる可能性があります。
4. 事前相談の勧め
障害者手帳を持っている方や、運転に不安がある方は、免許更新手続きの前に、お住まいの都道府県の運転免許センターにある「安全運転相談」窓口に事前に相談することをおすすめします。
- ご自身の障害や病状を伝え、更新が可能かどうかの見込みを確認できます。
- 必要となる書類(診断書の要否や様式など)を具体的に教えてもらえます。
- 適性検査の内容や、必要に応じて付与される条件について説明を受けられます。
身体障害者手帳をお持ちであれば、安全運転相談の際に持参するとスムーズに話が進むことがあります。
まとめ
障害者手帳を持っているからといって、運転免許が更新できないということはありません。大切なのは、現在の身体や精神の状態が、安全な運転に支障がないかという点です。もし障害が運転に影響する可能性がある場合は、適切な適性検査を受けたり、医師の診断書を提出したりすることで、安全に運転できる能力があることを証明する必要があります。